週刊 『近江富士拾遺物語』 第9号
山笑うころですが。
桜が終わると、山は急激に装いを変え始めます。俳句でいう「山笑う」です。今年も新緑の季節になったなと、三上山の麓を走っていて、あらためてその山腹に新緑が目立つことに気がつきました。山笑うころですが、笑ってはおれない現実があるようです。昔の写真と比較してみます。(八田正文)
撮影:1980年頃
とりあえず3枚の写真を年代順に並べでみた。左の写真は、野洲市観光協会で「定番」と呼ばれている写真で、方々で使われている。三上山登山マップの表紙にも使われているので、ご覧になった方かも多いと思う。ただ残念ながら撮影年月日が不詳である。私の記憶では1980年ごろだとおもうのだが、頂上右下の岩の露頭がはっきりしていることから、ひょっとしたら1980年代前半だったのかもしれない。いずれにしてもこの前後の写真では、山全体がほとんど針葉樹に覆われ新緑は見当たらない。撮影:2004年5月24日
2枚目の写真は2004年、今から3年前の撮影である。山の形、お寺の屋根の位置などから、1枚目と2枚目とはほとんど同じ場所からの撮影であることがわかる。上に比べるとポツポツと新緑が目につきかけてはいるが、意識せずに見れば気がつかないくらいである。ただ、いまその意識で見れば、三上集落の屋根の上、お寺の屋根から御上神社の森にかけて、山の裾に新緑が見える。しかしこれも今になって見えることで、当時、この写真を撮ったときにはいっさい気がつかないことだった。
さて今年、3年前と比べて明らかな違いが見受けられる。まだ田植えが始まっていないから、撮影の時期は前二者と比べて1ヶ月ほど早めだが、有無をいわせぬ違いが見て取れる。前の20年間に比べてあとの3年間の変化のいかに大きいことか。長年林業にたづさわり山を見てこられた三上のHさんによれば、松が枯れて、繁殖力が強い闊葉樹がそれに替わって広がっているためだという。たった3年でこれだけの変化だとすれば、このあとさらに加速度的に変化していくことは想像に難くない。写真を撮る立場からすれば、三上山の全山紅葉は大歓迎だが、山林管理の立場からはそうとばかりは言い切れない、切実なものがあるのだろう。いずれにしてもこの3年間の変化は大きい。撮影場所地図
070428A 三上から
方位:276.3度/距離: 1.4Km
野洲市三上/2007.04.23
三上の例があったので、北桜側も記録しておこうと、さくら墓園のほうへ回ってみた。感覚的には三上側からの比ではなかった。下の写真のように、墓園から見て右側、花緑公園に続くあたりは、高さにして半分弱ぐらいまで新緑になっている。加速度的に変化していくのが予測される。撮影場所地図
070428B 北桜から
方位:140.9度/距離: 1.3Km
野洲市北桜/2007.04.23


