「近江富士」かわら版

近江富士、四季の風景 ■「穂高から三上山まで」---わたしの山と写真---連載中

2008年02月14日

雪道で

週刊「近江富士」
 


写真拡大■昨日の「地蔵さん」と同じころの撮影ですが、これは新調したマミヤRB67による撮影です。といってもレンズの種類を揃える余力話ということで、まだ標準一本です。もくろみの超望遠などいつの話かというところ。山に近く、常識ではワイドを使いたいところですが、これしかないのですから仕方なし。窮屈な構図になっています。
  
■むかし語り音楽夜話
--------わたしの迷曲100選(軍歌からベートーベンまで)--------
   
 14.勝ち抜く僕ら小国民・2------60余年まえの亡霊・2--
 
 世間様ではバレンタインデーだというのに、不景気な話でゴメンナサイ。
 昨日の続きです。いよいよ亡霊が出現します。

 「きょうぞうさーんのかえりみち、みんなでつーんだはなたばをー、えーいれいとーおーにーさーさげーたーらー・・・」
 昭和20年といえば、『リンゴの歌』、これが定番だが、それは20年の後半、戦争が終わってからの話である。戦争末期、20年前半はどうだったのかと記憶をたどっていて、この歌を思い出した。タンスの引き出しのそのいちばん底から出てきたような、記憶の断片である。
 
 第2フレーズの、「みんなで摘んだ花束を」は、これはいまの若い人にも分かる。第3フレーズはどうだろう。「英霊塔に捧げたら」だが、若い人に英霊塔が分かるかどうか。それはさておき第1フレーズ、これがくせ者。そのまま入力すれば「恭三さんの帰り道」とでてきた。新婚の奥さんが夫の恭三さんの帰りを待っている、とこじつけてみても意味は通らない。これにはちょっと解説がいる。

 正解は、「きょう増産の帰り道」である。現在の感覚で、日本語として通じるかどうか。兵器増産、食糧増産・・・・。戦争貫徹に向けて、何かにつけて、「増産」が叫ばれていた。中でも食糧増産は切実な問題だった。男手の足りなくなった農家へ、手助けにと、小学校高学年、中学校低学年の生徒がかり出された。といっても実際には何の役にも立つはずがなく、こられた方はありがた迷惑、体のいい食客をあずかったぐらいでしかなかったのだが。
 そんなことで、歌詞の意味は、「きょう食糧増産のための勤労奉仕にいっての帰り道」ということになる。文脈としては、「今日野球の帰り道」、「ゴルフの帰り道」というのと同じである。

 そこまではいいとして、この断片だけでは話にならない。これがこの後どう続くのか。こんな歌が出てくるはずはないと思いつつ「今日増産の帰り道」で検索してみた。・・・と、でてきたのである、「勝ちぬく僕等少国民」と。これには驚いた。歌詞を見てさらに驚嘆した。こんな歌だったのか。これは亡霊だ。

 「英霊塔に捧げたら」だと思っていたが、正しくは「英霊室に供えたら」だった。しかし、そんなことは些細なことである。「・・・天皇陛下の御為に 死ねと教えた父母の 赤い血潮を受けついで 心に決死の白襷・・・・」。初めから終わりまで、狂気としか思えないこの歌詞の中で、私が憶えていたのは、唯一まともな箇所だった。これがどうして私の記憶に残っていたのか。不思議である。

 明日に続きます。


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八田正文
1976年以来、30年にわたって近江富士・三上山の写真を撮り続けてきました。その三上山の姿を新旧とりまぜて・・・。 「穂高から三上山まで」・わたしの山と写真、連載中。こちらもよろしく。
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