2008年05月19日

素朴な灯籠



写真拡大■野洲市南桜、県道27号沿い、家庭菜園の一角にこの灯籠や石仏を並べた場所があります。遠い記憶をたどってみると、大きな松の木があって、そこに地蔵さんがまつられていた、そんなところです。三上山と一緒に収めようとすると、雑然とした周囲が気になりますが、灯籠や地蔵さんだけなら面白い絵は作れます。


◆朝日新聞週刊情報誌「あいあい AI 滋賀」に写真シリーズ ”三上山物語” を連載します。・・・・5月14日号スタート、約1年間の予定です。


■穂高から三上山まで
--------わたしの山と写真--------
   
 008.餓鬼・燕・槍・穂高-------
     2.信濃常盤から餓鬼岳小屋まで

 駅前の旅館で、と安易に考えてきたのが間違いだった。信濃常盤、本当に素朴なところだった。田圃とリンゴ畑、旅館などどこをさがしてもない。親切な駅員さんの手配で、Oさん宅に泊めて貰った。翌日、朝食を食べているとき、例の駅員さんがやってきて、「北海道から来た人が、餓鬼岳へ登るといっている。いっしょに登ったら?」という。     

写真拡大 駅前から、線路を渡って反対側に出ればこんなところだった。当時のことだから道は地道、田圃の向こうはリンゴ畑か桑畑か。目指す山は雲に隠れて見えない。左、山馴れした格好でピッケルを担いでいるのが北海道氏、右が友人のHクン。

 
写真拡大 北アルプスの有名な山なら、駅前から、登山口までバスの便があるのだが、ここはそういうお節介は一切なし。山へ行きたけりゃ自分の足で歩け。それがいやなヤツは来るな。いいねーこういう精神は。
 長い道を歩いて、いい加減いやになったころやっと登山口へ。「餓鬼岳まで12Km,約7時間」とある。

写真拡大 登り初めてすぐ道が分からなくなった。あれこれ騒いでいると、ひょっこり炭焼小屋の前に出た。そこでのやりとりは記憶にないが、山道を登っていく写真が残っている。写っているのはHクンだが、その前に2人いる。多分炭焼きさん夫婦だろう。どうやらしかるべきところまで案内して貰ったらしい。
 このあと、炭焼きさんとわかれてから、餓鬼岳小屋に着くまで、自分たち以外には誰一人として人間には遇わなかった。




写真拡大 炭焼きさんと別れて、渓流歩き。単なるスナップ写真だけれども、北海道氏の身のこなしは安定して見える。







写真拡大 続いて滝が現れる。「黄葉の滝」だとか。ここらあたりになると、黄葉でも新緑でも何でもエエ、どこまで登れちゅうネヤ。出かけにOさんのお婆ちゃんがリュックに詰めてくれたリンゴが肩に食い込む。捨てるわけにも行かず、早く荷物を減らしたい、そんな一心でリンゴばかりかじっていた。
 画面の左下に北海道氏の足が見える。ここらあたりまでは一緒だったのだろうが、いつかすーと前へ行ってしまった。こんな素人に付合いきれんというところだろう。速いばかりが能じゃないと思うが、遅いばかりも能じゃない。山の歩き方を知らなかったのである。

写真拡大 今度は「魚止の滝」。いわれんでも魚は止まるわい。こんな滝、どんな魚が上るねん。とにかくしんどいから、滝の名前を見ても腹が立った。
 山に登るのだから地図は持っている。しかし、その地図を事前にしっかり読んでいたか。今思うとどうも怪しい。地図には滝のマークもあったはず。滝があれば、一気にその落差分を稼がなければならないのだから、道は険しくなって当たり前。このことは昭和40年代の前半、馬籠・妻籠のついでに田立の滝へ行ったときに、身をもって体験した。こんな簡単なことでも、体で分かるまでに10年かかっていた。
 それにしてもこの登りはきつかった。最後は足が上がらなかった。

写真拡大 滝が終わると今度は、じめじめした樹林帯だった。枯死した木に得体の知れないとろろ昆布のようなものがぶら下がっていた。サルオガセと呼ばれる寄生植物だが、そのときは「あれは何やろね」と不思議がっていた。

 やっとの思いで餓鬼岳小屋にたどり着いたのが、6時40分、あたりは薄暗くなって、手持ちのシャッターが切れなくなっていた。駅前のOさん宅を出発したのが午前7時15分。ほとんど12時間かかったわけ。先着しているはずの北海道氏はいなかった。おそらく燕まで足を伸ばしたのだろう。かわりに燕から来たという男が一人ぽつねんと座っていた。



■近江富士写真展開催中 花緑公園ふるさと館内ギャラリー兼休憩室
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