右に傾く
大津市雄琴3丁目
国道からよじ上った高台の広場に、長崎のグラバー邸を思わすようなあずま屋が建ち、公園は「かざみ公園と」と名付けられた。あずま屋の屋根についた風見鶏に由来するのだろう。最初は面白いものが建ったと、喜んで撮っていたが、何度撮ってもほんの少し右に傾いて写る。そのころは中判のフィルムカメラだったから、もちろん三脚使用。傾くはずはないのだが・・・。最後は水準器を持って行って確かめてみた。それでも同じだった。建ったばかりの新しい建物だからそれ自体が傾いているはずもないし。
これが
現在の姿である。風見鶏は左へ傾いているがこれは別。建物自体はやっぱり右へ傾いているように感じる。標題写真はその内側から琵琶湖を見たところ。やっぱり右へ傾いているように見える。でも定規を当てて確かめてみると間違いなく鉛直に立っている。
細かい手品だけど、種明かしは対岸の地形だった。画面左は琵琶湖大橋ゴルフコースあたり。そこから湖岸線は赤野井湾にかけれ大きく凹む。湖岸に立ってそれを見ても、すべて水平線として見えるからこれは問題なし。しかしここはほんの少し標高が高い。「ほんの少し」、これが問題なのである。たとえばうんと高いところ、たとえば比良山や比叡山の上から琵琶湖を見る。湖岸線は地図の線のように見える。しかし、ここはそれほどの高さはない。ほんの少しの高さが、右側の凹みをごくわずかな右上がりとしてみせる。それを認識できない人間はそれを”水平線”と見る。そしてそれと直交する柱を右へ傾いていると感じる。どうにも解決できない問題である。
写真ステージ 「近江富士」
三上山撮影のついでに・・・
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