風景の遊び

八田正文

2014年11月26日 08:11


近江八幡市中之庄町
  長命寺川左岸から少し離れたところに立派な道路が走っている。ただし長さが500m足らず。両端はどこにもつながっていない。妙な道路である。ときどき忘れたころに軽トラがやってくるだけ。いや忘れて昼寝をして目を覚ましても来るかどうか。途中進入路はないわけではない。しかし入っても意味がないから一般のクルマはこない。
 その道の片側の突き当りにこんな施設がある。農業用水の調整池か何からしいが、詳しいことはわからない。その施設に一直線に流れ込んでくる川がある。その突き当りに三上山が見える。きょうの標題写真である。偶然できた川ではないと思う。どうせ…と言っては語弊があるが、広い田んぼの中の人工の農業用水である。距離は300mあまり。どうせつけるなら三上山から流れてくるように見えたら面白い。にやりと笑った設計者の遊び心がみえてくる。ビニールハウスのために半分以上見えなくなっている。水路を作った時はなかったはず。
 三上山だから面白いというのではない。富士山であろうと、御嶽であろうと、大山であろうと、それらを使って遊べば風景が楽しくなる。川だけではない。町でも公園でも風景が遊べば心が豊かになる。それが観光遺産であり、ひいては文化遺産につながる。

 写真ステージ 「近江富士」

 
三上山撮影のついでに・・・


近江名所全集

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