桑実寺

八田正文

2015年11月30日 07:51


近江八幡市安土町桑実寺
 そのあとすぐに山門前に着いた。30数年前のことだけれどここはしっかり記憶がある。下の集落入り口からまっすぐ石段を登ってきたところである。そのときは、このあと少し登ったが、電線に辟易して途中で引き返したわけだ。下を見ると先ほどの民家が見えるきのうの標題写真はこの民家の左端に見える灯籠の横から撮ったわけだ。

 山門には掲示があって、「拝観料300円、上の本堂前の受付で支払うよう」指示がある。30年前引き返したということは、案外同じシステムで、拝観料は払ってないから帰ろうかとなったのかもしれない。われながらみみっちい話だ。きょうは初めから上まで登るつもりで出てきたから、そんなことはどうでもよい。堂々と山門を入る。「チコン」となる。なるほどお寺も近代化した。ビームが通っていたらしい。良くも悪くも”これを鳴らした以上、上まで行かなアカンな”と心理的圧力を受けることは事実。

 「本堂まで300m」の立札がある。それなら大したことはないなと思ったが、80歳を過ぎたオジイにはそうは問屋が下ろさない。5,6段登って振り返る。それが役に立つのだから世の中は面白い。紅葉の枝の間から三上山が見えていた。上り一方の石段だからちょっと登るだけで風景が変わる。山門と紅葉が下へ下がり、三上山がせり上がってくる。ケーブルカーに乗っている感覚である。標題写真など、山門がまだすぐそこに見えるのに、山は大きくせり上がっている。右側に電柱が見える(右端の太いのは杉の木)。長い間高圧線だと思ってきたのは、どうもこの電線のことだったらしい。昭和57(1982)年にまとめた写真集・『四季近江富士』には、ほとんど電柱が写っていない。当時はまだそんな風景が残っていた。そんなときに、この電柱には我慢ができなかったのだろう。

  写真ステージ 「近江富士」

 
三上山撮影のついでに・・・


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