雲の影

八田正文

2016年08月31日 08:38

栗東市出庭
 ついうっかりして午後2時過ぎに山の南側へ回ってしまった。山はともかく手前の風物がべた光線でどうもしんどい。しまった、えらいところへ来てしまった。というところだったが、いつも午後から出てくる雲が山に影を落として何とか形だけを整えてくれた。場所は栗東市野洲川運動公園。対岸野洲市側の建物がクリーム造りのように真っ白に写っている。恥ずかしい写真だけど山にかかった影に免じてお許しを。いやいや他も五十歩百歩です、ハイ。

 山は立体である。当り前のことだけれども、われわれ人間の目には面として見える。いまの場合だと、山の形のいちばん外側の線をトレースして、その内側を塗りつぶした面としてとらえている。しかし実際には山は立体であって、面の中に潜んでいる立体としての線を表現したい。この黒い線が入るか否かで山の表情が変わる。

 山頂から右側へ下ってくる線が鼻筋尾根、左側へ下るのが西尾根。それに連なる破線は、御上神社側からの登山道になっている尾根である。冬、うっすらと雪をかぶった山はその線を見せるが、それ以外の季節ではめったに見ることができない。寒冷渦だったか、あまり聞きなれない気団に御厄介になっている晩夏のこの日、無造作にかかったちぎれ雲の影が、これらの尾根筋をうまく表現してくれていた。
     
   写真ステージ 「近江富士」

 
三上山撮影のついでに・・・

近江名所全集

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