昔の話
野洲市三上
国道8号御上神社前交差点から350mほどのところ。画面が暗くてわかりにくいが目の前が神社の森。その上から三上山が見えるという構図である。県道504号から三上集落へつながる道が稲妻状に折れている。1978年夏、その素朴な砂利道をローアングルで狙おうと腰をかがめてカメラをセットし、シャッタを切るばかりになったときに、イネの向こうからおばちゃんが乳母車を押して現れた。大概こういう場合は逃げられてしまうのだが、このときは一言でいえば出合頭。向こうも私の存在に気がついていなかったはず。知らぬ顔で「すみません、お邪魔します」と頭を下げながらレリースを押した。それが
この写真である。
小さい遠景の人物はともかく、はっきりそれとわかる人物が入った画面は私の写真集の中でもこれ1枚である。なぜ人物が入っていないのかとよく質問されたが、でかい6×7判に三脚という構造上、カメラをセットした時点で、かりに格好の人物がいたとしてもシャッター以前に逃げられてしまうのである。遠い昔の話である。
写真ステージ 「近江富士」
三上山撮影のついでに・・・
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば
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