2016年04月01日
運命

「運命」といってもベートーベンの話ではない。野洲市北桜、花緑公園のふるさと館の前から希望が丘の方へS字カーブを上り始めたところで、左前方が急に白く明るくなる。森林センター中庭にコブシの花が咲いている。季節限定の風景である。標題写真がその風景であるが、右上の方に鳥の巣でも見るような、なんとなく違和感がある集団がある。下から見上げるとそれがもっとはっきりしてくる。実はこの黒い葉っぱはタイサンボクである。
なーんや、コブシとタイサンボクが絡み合っているのか。なんて、簡単に言ってはいけない。「絡み合う」というのは、本来は別々にあるべきものが、何かの事情でくっつきあってしまった。これは人間の世界でもよくある話で、別に珍しい話ではない。このコブシとタイサンボクはそんな生易しい話ではない。2本の木がこの世に生を受ける時点でニアミスをしてしまった。運命共同体として一生を共にする以外どないしようもないのである。一見してコブシが黒いタイサンボクを取り巻いて、ぐうの音も出ないまでにやっつけているように見える。しかしそうではない。ちゃんと譲るべきはゆずり、互いに平均的な大きさを越えた立派な木として成長しているのである。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


Posted by 八田正文 at 07:49│Comments(0)
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