尖がり富士異聞

一般的な山頂に比べると確かにとがっている。しかし私が言う厳密な意味での尖がり富士といえるかどうか、何とも言えないところである。私が言う尖がり富士は、県道27号南桜交差点内から枝分かれする農道上から見たもので、たとえばこの風景のように目の前が田んぼになっている。ただしこの風景も厳密にいうと「とんがり」とはいいがたい。この場所よりさらに100mほど左へ寄ったところ(高圧線鉄塔が右斜面と重なる)である。
実はその農道の、もう1本外側に南桜から北山台・サイドタウンへ向かうバス道がある。もともとはそのバス道からは三上山が見えなかったのだが、何かが取り壊されて更地になって、見通しがよくなっているのに気がついた。さっそくそこへ駆け寄ってみたものである。標題写真左の方に、白いズボンをはいた人が立っている。これがくだんの農道である。いつもはそこから撮っているが、そこから50mほどバックしたことになる。それで山の見え方が変わるわけではない。しかし、今まで見ることができなかった風景が見える。それが楽しいのである。
写真ステージ 「近江富士」
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ススキ揺れる

南桜のさくら緑地駐車場横。大山川左岸の自転車道沿いにススキの穂が揺れていた。この日(9月26日)、やっと天気が安定してきて、快晴に明けたが、午後は雲が天空の半分ぐらいを覆うようになった。幸いここから見る三上山の上空は青空がのぞき、かろうじて絵になった。
ススキの向こうは4~5m下が大山川の河床。その向こう北桜の農地にはビニールハウスが何棟か並ぶ。カメラを下げて隠したが、白い屋根がわずかに見えている。私が撮り続けている写真は、三上山を囲む風景の記録だと思っている。そのためには画面のどこかに撮影場所を明らかにするものがほしい。これなんかは数年もすると場所不明になること間違いない、難儀な写真の部類に入る。
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黄金色

野洲市野田、国道477号沿いに北へ進むとき、この集落を抜けると次は近江八幡市野村町だという市境に位置する。その野田集落の琵琶湖側に広がる田んぼ。遠くの家並みが野田集落である。たわわに実った稲が黄金色に揺れる。素人の私に事情は分からないが、今年の稲刈りは黄色くなってからというのが多いようだ。まだ青みが残っているまま刈り取られていた昨年までとは若干趣が異なる。今夏の異常気象によるのかもしれない。
この黄金色を見ると、はるか昔、小学生の頃を思い出す。車を止めて畦道へ近づくと、イナゴがピョンピョンと逃げていく。イナゴなど絶えて久しく見なかったものだ。いつかも書いたが小学生のころはそのイナゴが簡単に手づかみできた。いまはとてもとても、イナゴが変わったのではない、変わったのはこちらの運動神経だろう。
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もみ殻の山

刈り入れが終わった田んぼにもみ殻が山積みされている。中には火がつけられて黒く焦げたようになっているのや、ブリキの煙突から煙が上がっているものもある。この時期独特の風物である。ちょっと道路を走れば方々にこの山を見ることができるが、さて三上山と組み合わせた風景になると、そう沢山あるわけではない。もみ殻を処理する側からすれば、当然のことながら自分たちの作業の効率を最優先するはず。三上山との風景は・・・などと悠長なことを考える人はいない。
そんなことで、こういう風景に出くわすとうれしくなる。湖岸道路「鮎家の郷」交差点から国道477号五条に出る道路沿い。右の森は兵主大社の杜かと思われる。
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ズームレンズ

例のツバメ騒動の場所から50mほど右へ移動したところ。刈入れが終わった田んぼに藁束が並んでいた。もうツバメは1羽も写っていない。あの時のツバメはどこから来てどこへ行ったのか。時間にして5分もたっていないのに、別の世界にいるような不思議な感覚だった。
ところで今日の写真は昨日の写真に比べて山が大きい。単純に考えると山に近づいたということになりそうだが、実際には山に対して右へ50mほど移動しただけで、近づいたわけではない。2枚の違いはズームレンズを少しひねったことによる。
昔マミヤ67を使ってたときは、すべて単焦点レンズだった。1本のレンズで見ればフィルム上での山の大きさは、山までの距離に比例した。いまはズームレンズという便利なものが使えるおかげで、その簡単な鉄則が崩れてしまった。山の大きさが撮影距離と無関係。山に近づいているのに小さくなったり、逆の遠ざかったはずなのに大きく写っていたり。状況に合わせて無意識にズームをひねってしまうからである。昔はフィルム上の山の大きさを見れば、何ミリのレンズを使ったかすぐに判断がついた。いまはそれが不可能。便利というのか不便というのか。ややこしい世の中になった。
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幻のつばめ

一昨日、9月23日の午後、遠くの野焼きの煙を撮ろうと農道へ入った。稲刈りの邪魔をしないように道を選びながら、このあたりというところで車を止めカメラを向けた。その瞬間ファインダーの中を、10数羽の小さな鳥が通り過ぎた。シャッターを押す余裕もなくかろうじて見極めた最後の姿がツバメだった。いまごろツバメ?、それが何より不思議だった。
ところが昨日(24日)10時ごろ、花緑公園ふるさと館前で再びツバメが飛んでいるのを見た。驚いていると同行のFさんが「ツバメは(他所でも)まだいますよ」という。そういえばと・・・と、田んぼの中のツバメを思い出し、そのときのデータを子細に調べてみた。その日(23日)、空が晴れてきたので、レンズをワイドに切り替えた。それが標題の写真。野焼きの煙は遠くなったが視界が広がった。撮った時には気がつかなかったが、その青空の中に黒点が一つ。引き延ばしてみるとまさしくツバメの姿だった。
まだ写っているかもしれない、最初の大群を撮り逃がした悔しさから、未練たらたらなめ尽くすように調べ直した。結果見えてきたもの。未練のもう1枚。最初見たのはこんなケチなものじゃなかった。ホンマやぞ。羽と腹の色の区別もついた。そんなんが空いっぱいにわーとおったんや・・・。ホンマやて。ぼやけばぼやくほど話な大きくなりまして、ハイ。
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遊び

日野川左岸野村橋下流堤防上に車を止めてふと見るとバックミラーに三上山が写っていた。ふつうにみても見える風景で、何が不思議というわけではないのだが、あまりにもうまく入り込んでいたので、遊んでみた。ただそれだけの話である。カメラを持って車に乗ればそんな遊びの一度や二度は誰でも経験ずみのはず。見えているのは日野川に架かる野村橋。言うまでもないことだが、左右逆像(左が野洲、右が近江八幡)である。
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助手席から

いつの間にか秋分の日。すでに今年も4分の3が過ぎた。あとは日に日に日暮れが早くなり、あっという間に今年も終わる。
仁保橋で日野川を渡る。以前は橋の幅が狭く、近江八幡から野洲に向かうときは、渡り切ったところで直角に曲がるという走りにくいところだった。いまは改良され走りやすくなった。写真は橋を渡って野洲市側へ下るところ。田中山と妙光寺山との間に、三上山が上半身を見せるという構図である。山の高さから言うと仁保橋の野洲市端(信号のところ)から見るのがベストだが、電柱が妙な絡みをして写真にはなりにくい。とはいえ、これがが大型ワゴン助手席からの視界。普通車だとぐっと低くなるはず。
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