高原みたいな所

何日か前のこと、うちのシャチョウが「きょう畳屋さんに車に乗せてもらったとき、今まで行ったこともないところを通った。高原みたいなところで、向こうに三上山が見えて…」という。ボクは相手がシャチョウであろうどこかのオッサンであろうと、そういう話は信用しないことにしている。大概の場合実際に行ってみると話の通りであったためしがない。確かに山は見えるのだが、ほとんどの場合、山よりは邪魔もののほうが多い。
で、話は立ち消えになっていたのだが、つい2,3日前、くだんの畳屋さんがうちへやってきた。「こないだ車で通った三上山が見えるところ、どこだった・・・」と蒸し返してきた。聞いてみると「旧東海道沿いの場所だけど、草津川と金勝川が合流するところで、…」という。三上山が見えるというのは話半分としても、そこへ行っていないことは確かだった。金勝川沿いの旧東海道は走った記憶があるが、その「高原みたいなところ」は未知の場所だった。
行ってみれば、赤白の鉄塔が立っていたり、電柱があったりはする。しかし広々として風景の向こうに三上山が見える。近くに草津川放水路竣工記念碑があったり、昭和28年9月13ぐ台風による、草津川・金勝川破堤水位標識なるものが立っていたりする。思った以上に興味深い場所だった。
写真ステージ 「近江富士」
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草津線

きのうと同じ場所。きのうの写真を撮り終えて帰り道、30mほど後戻りして街道沿いの民家に近づいた所で、踏切のチンチンという音が聞こえだした。鳴り始めたのではない。今まで鳴っていたのがよりはっきり聞こえだした感じ。
電車が来るのだなと、元の場所へ引き返した。しかし電車はこない。チンチンはというと、鳴っているようないないような。少し様子を見たが、何の変化もないので、さっきの音は聞き間違えだったんだと、もう一度引き返した。と、先ほどのところまで来ると、またチンチンと聞こえ出す。おかしいなと、ふと手原のほうを見ると、電車がやってくるのが見えた。やっぱり間違いではなかったんだ。もう一度走りなおして撮ったのがこの写真。クイズ。結局何往復したのでしょうか。
どこの警報機が鳴っていたのかはわからないが、その音が何かに反射して、そこだけはっきり聞こえたのだろう。それと多分手原駅での長時間停車。踏切で待たされた人はイライラしたことだろう。
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東海道の谷文晁

きのうの場所から東海道を数10mほど手原のほうへ進んだところに六地蔵会議所という建物がって、その前が空き地になっている。その横を通って農地へ下ったところ。普通に見ると主峰(雄山)と副峰(雌山)に分かれて見える三上山が、この方向だけは雌山が雄山の中に溶け込んで1つの山になってしまう。
谷文晁が描いた三上山、そのスケッチ場所は最初守山の地球の森あたりだと考えていた。しかしスケッチするとしたらやはり街道沿いが自然だ(京都外大樋口先生)との助言もあって考え直したのが、この六地蔵の地だった。文晁の三上山の左ページの山容が上の写真の三上山とよく似ている。今の場所からあと少し左へ移動すると、雄山と雌山が偏りなく重なり合う場所がある。そこが文鳥のスケッチポイントだと考えている。
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旧東海道沿い

1時間ほど時間が空いたので久しぶりで六地蔵へ行ってみた。以前、県道116号沿いにちょっとした空き地があって旧和中散本舗駐車場との表示されていた。しかし私が行く限り、そこに車が止まっていることはなく、いつも勝手に車を置かせてもらっていた。が、今回行ってみるとそこに住宅が建っていた。こうして知らない間に状況が変わっていく。何回か勝手に駐めさせていただきました。ありがとうございました。
時間がなくあまりのんびりもしておれないので、旧東海道沿いの家と家との間から見えた三上山を1枚。山頂部が3つに分かれ、主峰の手前に雌山が見えるといういわゆる富士山型である。左裾に低く続く丘陵型の山が妙光寺山。その左、遠くに見えるのが長命寺山。ご多聞にもれずビニールハウスに閉口する。
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鎮守の森

いつか見てもらった守山北中学の前を通る道。それを南西へ進んで石田町の近くあたりから見た所である。右端にちょっとした森が見える。実際に行ってみて確かめたわけではないが、地図によると若宮神社の森らしい。これだけで風景が変わる。
滋賀県は、というより日本全国大都市以外はほとんど同じだろうけれど、水平な広がりの中にこのような鎮守の森が見える。まさに日本の風景だと思う。三上山の右下に見える遊戯施設の赤壁に違和感を感じるが、この森にはそれを超える存在感がある。もう少し森に近づきたい気もするがそうすると民家も赤壁も一緒に大きくなる。ここらで押さえておくのが賢明だろう。
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オリオン昇る

撮りだめがたくさんあると高をくくっていたが、気が付いたら底をついていた。
これは別シリーズの『三上山物語Ⅱ』の今年1月1日号の写真。見ていただいた方もおられるだろうが、念のためこちらでも・・・。
野洲市三上、株式会社ダイアナ社屋の前から、三上山の上に昇ったオリオンである。露出はISO=200,絞り=2.8、シャッター=9秒。たかが星の光だけど、結構写るものである。反省点としてはピントが怪しいから、ISO感度を高くして、その分絞ったほうがよかったかと。
インターバル露出の1枚であるが、星座の写真としても何とか使えるようだ。撮ったのは昨年12月末。日暮れと同時に昇ってきたが、いまはかなり高くなっている。星の世界も季節が進む。
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番外編:白山のひと

番外編:白山が見えた。
山が好きである。しかし山に登らなくなってずいぶんたつ。最近はもっぱらクルマで山を探して展望を楽しんでいる。圧巻は安房峠から見る穂高連峰。高山市郊外からの槍穂高、笠・薬師など。ポイントはいくつかある。それに今回、新しく白山の展望ポイントが見つかった。場所は福井県坂井市三国町、道の駅「三国」(ファームみくに)の近く。
国道305号を走っていて気がついた。雪の山が連なって、その中にひときわ白い山がある。白山だろうと思ったが遠隔の地である。以前何かの時に、三国港近くでバスの中からちらと見た記憶はあるが、今見ているこの山が100%白山であるという自信はない。
道の駅の食堂でカレーライスを運んできた20歳ぐらいの女性に聞いた。「向こうに見えている白い山は白山ですか」と、丁寧な日本語で。くだんの女性は「サー」と首をかしげて「ちょっと待ってください」。返って行った直後、「立山連峰云々」という男性の声が聞こえた。これは笑うしかないな。しかし女性はなかなっ帰ってこなかった。「自分の職場の近くぐらい即答できるようにしておけよ」とは言わなかったが、例えば、野洲あたりで三上山を指して同じ質問をされたら、やっぱり「サー」と返事をするのだろうか。
女性が帰ってきたのはカレーをほとんど食べ終わったころだった。「あの中の一番白い高い山が白山です」。なるほど、詳しい答えだ、模範解答である。あの山全体が白山ではない。手前の山はいうて見ればただの山、オラが白山は一番奥の白い山だ、という気概にあふれていた。誰か山にうんちくのある人物に教えてもらってきたのだろう。職場の誰それを走り回って解答を探した姿が目に浮かぶ。この望遠版は、その模範解答を探し出した女性へのお礼の1枚である。
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Posted by
八田正文
at
09:39
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農作業中

県道504号から見た三上山である。前方の農道の右外が県道である。見ればわかるように、県道から農地にかけて下りになっている。農地が1m足らず低い。たった1mほどの差だけれど、その高さが農地を広く見せる。その農地でトラクターが作業中。
実はこの写真、半月ほど前の撮影である。細かく言うと農地自体の様子は変わっているかもしれないが、真冬のこの時期、半月の差にさして違和感は感じない。たとえばこれが春や秋だったら、半月遅れの写真は使えない。一週間はおろか3,4日たてばもう風景が変わっている。風景も人間も、地球上すべてのものがじっと寒さに耐えている、いまはそんな時期である。
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