2017年02月16日
遅まきながら

30数年前の話である。一生のうちで、たった1回、3,4年ほど写真クラブに籍を置いた。ある日のこと、仰木の住人だというYさんが、「うちの近くに馬蹄形の棚田があって、その上にちょこんと三上山が見えるねん」という。いま考えると、ボクが三上山の写真を撮っていることを知って、その場所へ案内するよという意味だったのかもしれない。興味はあったが、ボクは僕で、自分の写真の撮影場所は自分で探すという思いもあって、「へー、そーですか」と気のない返事をして、その話はそれで終わってしまった。
そして話は、きのうの標題写真を撮った後へつながる。天気はだんだん良くなりそうだしもう少し歩いてみようか。と、200mほど離れたところにある農道の橋を渡った。例によってイノシシ除けのネットが張ってある。そしてその向こうにU字型の棚田。何や、こんなところだったのか。見るともなく見ていると、ネットの何箇所かがぐいと折り曲げられている。こんな大きな目だから、こんなことせんでも撮れるのに。
三上山はそのU字を横から見た方向、例の延々と横に続く森の向こうにちょこんと見えた。Yさんの話を聞いて、U字型の底から見て天井の開口部に三上山が見えると想像していた。しかしそれは勝手な解釈だった。たしかにYさんは、「U字型の棚田があって、その上に三上山が見える」といった。たしかに「その上」だ。標題写真は、30数年前のYさんの言葉を思いだし、遅まきながらも、僕なりにまとめた写真である。これで三上山でございますといえるかどうか。
写真ステージ 「近江富士」
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■滋賀を歩けば


Posted by 八田正文 at 08:26│Comments(0)
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