空へ抜ける

高島市の湖岸、近江白浜と萩の浜の中間に鯰川という小さな川が流れ出る。南から行くと萩の浜水泳場の松並木が途切れ四高桜の並木に変わるところだったが、それが移植され道が広くなった。という場所であるけれど、きょうの話には周りの状況は関係がない。その場所から三上山が見えればよいのである。
実はいま、『湖国と文化』誌に載せる一文をまとめている途中で、30Km,40Kmと遠距離からの三上山の姿を撮っている。三上山は平野に突き出た独立峰だといわれるが、湖南地域に限って言えばそれも意味はあろうが、滋賀県全体で見れば決してそんなことはない。それよりもむしろバックの連山に埋没して姿が見えにくいのである。その中にあってこのように三上山が空へ抜ける風景は貴重である。たとえばここからさらに北東へ、安曇川南流近くまで進むとこのように沈んでしまう。風景全体のよしあしは別にして山の存在感だけを問うならば、抜けるか抜けないか、ほんのわずかな差が大きいのである。
写真ステージ 「近江富士」
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