鉄塔の怪

希望が丘から下って来る県道324号が野洲電車基地の下をくぐって旧中主町の方へ抜ける。その直前で側道へ入り野洲駅の方へ折れる、その曲がり角に黒田商会の社屋と資材置き場とがある。両者の間に少し空間があり、今そこにコスモスが咲いている。さらに注意して見るとその奥のススキに半分隠れてドクターイエローが見えるのだが、それは今日の場合何の意味もない。
昨日の場所から言えば、三上山に対して160mほど右後ろへ下がったことになる。それが何やね、とおっしゃるかもしれないが、3つの山の重なりが変わっている。昨日の写真では手前の二つの山(田中山と妙光寺山)が、和服の襟をもとを見るように三上山の真正面(左右の中心)で重なっている。ところが今日の写真ではそれが左へずれ、あろうことか高圧線鉄塔がどーんと立ちはだかっている。右後ろへ移動、そのうちの後退は三上山をさらに高く見せているのだが、問題は右への移動。これで左右のバランスが崩れた。三上山が右へ動き、襟元が左へずれたことになる。
いまから30数年前、ここはなにもないただの畑だった。そこに背の高い2本の木が生えていた。例によって木の名前はわからない。ポプラのようでもあるし違うようでもある。学校の校庭などにシンボル的な木として植わっているのをよく見るが…。写真はその先端部と三上山との組み合わせである。襟元のずれも標題写真と同じ。ここに生えていたことは間違いない。しかし、どこを見ても鉄塔がない。どう考えてもこれを隠すことは不可能だから、この後で鉄塔が立ったと考えるしか解決の手口はない。
写真ステージ 「近江富士」
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