勧請吊と

祇王井川と童子川とのバイパス”中の池川”が県道2号と交わるところである。中の池川堤防の桜が最近とみに元気になり、県道から見ると花が盛り上がっているように見える。バックの住宅の屋根と重なって見にくくなっているが、勧請吊が見える。
と、ここまで書いて来て、県内各所のスケッチ画で有名な福山聖子さんの最初の画集『夕げの匂いオレンジ色の空』に”勘定縄”という作品があったのを思いだした。引っ張りだしてみてびっくりした。彼女の絵には住宅がなく、勧請吊の下に日傘をさした人物が歩いていたりして、全く雰囲気は変わってしまっているが、勧請吊と三上山の関係は標題写真とほとんど同じであった。
もし勧請吊の状態が変わっていないとしたら、三上山頂上と勧請吊の中心を結ぶ線の延長線上で、彼女は県道の三上山側で描き、私は同じ道の反対側で撮ってきたことになる。その絵に寄せての文の中で、福山さんは次のように書いている。
----中の池川橋の上から見る三上山は、大きな首飾りをしていた。首飾りに見えたのは勧請縄で、背景の三上山を飾っているみたいにまったくいい具合にぴったりと重なって見える。----
文章にあるように、福山さんの絵では、森の上に首を出す三上山にきっちりネックレスがかかっているように見える。標題写真では、三上山の首より勧請吊のポールの間隔がほんの少し狭い。道の幅だけ遠ざかったことでポールの見かけの幅が狭くなったのだろう。
つけたし:福山さんと同じ側で撮ったのもあったはずだと探してみた。福山さんの絵と同じ関係のものが見つかった。急に山が小さくなっている。手前の桜を入れたかったから、少しレンズを短くしたためである。
写真ステージ 「近江富士」
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