おてもやん

野村石材店の資材置き場からもう一点。可愛いおてもやん。ほんまにおてもやんか? あたまに頭巾らしいものをかぶっているから、どこか雪国の女の子と違うのか。そんな声も聞こえてくる。しかし、私にとってはこんな女の子はみんなおてもやん。
昭和26年、高校3年の秋、米をもって修学旅行に行った。旅館では女中さんが、その米をいちいち枡で量って受け取った。昭和20年、敗戦の年、小学校6年。修学旅行もちろんなし。昭和23年、学制改革の翌年、新制中学3年、5年制で入った学校が3年で卒業といわれても卒業そのものがぴんと来ない感じでこれもなし。高校でも修学旅行があるなんて考えてもいなかった。3年のそれも夏に近くなったころ、思いついたように秋に修学旅行をやるという。いま、高校3年の秋に修学旅行をやっている学校など、日本中どこを探してもない。
そうして行った九州、今では考えられないような土産物売り場の店先に、おてもやんの絵が並んでいた。TVも、旅の雑誌も、ガイドブックも何にもなし。ラジオもNHKだけの時代。高校3年のそれまで「おてもやん」なるキャラクターの存在を全く知らなかった。以来、この手の顔に出くわすと、昭和26年秋の思い出につながるのである。
写真ステージ 「近江富士」
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