風景の厚み

百済寺のあと時間があったので近くの山上町へ回ってみた。茗荷村へ抜ける角井峠への登り口、百済寺の撮影場所から、三上山に対して左へ700mほど移動した場所である。今までは集落から離れた農業用水池の近くで、三上山を中央にして左に雪野山、右に鏡山が対称形に並ぶ幾何学的な構図をポイントにして撮っていた場所である。道路に近いため電線を避けるのに苦労するのが常だった。
この日はぽかぽか陽気で風もなかったので、ふと思いついて里に近い棚田を山際まで登ってみた。振り返ってみる風景は、邪魔になる電線も下へかくれ、前方に横たわるビニールハウスにさえ目をつむれば、先ほど百済寺から見たのとほとんど同じ左右の広がりだった。ただ、現場の標高が百済寺に70m及ばず、その差による風景の重厚感にはいかんともしがたいものがあったが。
写真ステージ 「近江富士」
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