お寺の屋根

1980年4月の撮影である。1994年に出版した『近江富士百景』に収録している。その時点で撮影場所が怪しくなっていた。撮影時は、もちろん今のように文明の利器はない。マミヤ67で撮影した6×7判ポジフィルムを1枚ずつ切り落として、ビニール袋に入れ、撮影年月日と撮影場所を書いて保存をしていた。場所といっても今から考えればずさんなもので、近くの信号につている町名などを記憶しておいて…といったぐらいのもの。
2000年代に入ってデジタル化するにあたって、もう一度撮影場所を洗いなおした。幸いなことにこの写真には山が写っていた。山の並びから見つけ出したのがこの場所だった(2002年8月撮影・元データの画素数不足でピントが怪しい。お許しを)。山の並びは間違いないが、手前の状況が完全に変わってしまっている。川の幅が狭くなり右側に道ができている。街並みを見れば、例の赤い建物(アクト守山)、その右に白い建物(ララポート)、左端に薄茶色ンマンション風の建物。これが同じ場所だといえるのか。まさに浦島太郎だった。
山の並びが一致しているから間違いはないのだが、あまりの変わりようにそれにプラスしてあと一押しがほしかった。そして見つけたのがお寺の屋根だった。昔の写真で菩提寺山頂上の左下方に見えるお寺の屋根。それがこのときの写真に写っていた。アクト守山の右、ララポート(白い建物)の手前、軽トラとその右の物置小屋との間に見える。
そして今回のがこれ、さいわいお寺の屋根はいまも見える。さらに追加してもう1つ、これは余計なことだけど、いまの写真で三上山雌山と菩提寺山の鞍部に小さい突起が見える。これが1980年の写真に見える。細い木の枝と重なって見にくいが。
写真ステージ 「近江富士」
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