見えない稜線

野洲市南桜の桜墓園の外周部。古い地図で見ると大山川の流路だった部分である。いまの大山川は大山池を流れで手からほぼ直線で流れ下るが、監修される以前は今の墓園の外周部をまくように流れていた。その内側が今さくら墓園となっているが、周囲の農地より数m高くなっている。その分農地を見下ろす形となり展望台的な効果がある。
いまから10年ちょっと前のこと。『近江富士まんだら』の編集過程で、三上山が持つ稜線を明らかにしたくなった。漠然と見ていたのではほとんど稜線など見えるはずはないのだが、その線をはっきりさせたい。それを見極めた後は、写真では無理なので、スケッチでその線を明示したい。そのスケッチを知人の道本裕忠さんに頼み込んだ。
あれは晩秋のころだったか。曇りの日の夕方、その稜線を見極めようと二人で農道を走った。結局なにも見えなかった。いまから考えれば見えなくて当たり前だった。晴れていても稜線は見えない。ましてや曇りの日に見えるはずはない。たとえば標題写真の右肩、稜線が二重になっているのだが(道本さんのスケッチ)、それが見えたのは、淡雪をかぶった山が、斜めからの太陽に照らされる時だけだった。場所が違うので、見え方に多少の違いはある。ご了承を。
写真ステージ 「近江富士」
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