由良谷川

正面に菩提寺山が見えその右後ろに三上山が立つという構図である。そして、その手前に例によって甲西陸運のみどりの倉庫。手前、なだらかにカーブする堤防は、阿星山山麓から流れ出る由良谷川である。両側の堤防が新しい。この川もご多聞にもれず天井川で旧東海道がその下をくぐるトンネルが残っている。いまその平地化工事が行われている。手前が新しい川である。
標題写真は、旧東海道から1つ下流の橋から撮ったものだが、両岸の堤防が新しい。というのは実は、この由良谷川はかつては直接野洲川へ注いでいたのだが、いまは途中で水路を変え、1つ下手の家棟川(野洲市を流れる家棟川ではない。野洲市は右岸、こちらは左岸である)へ流入している。そして、航空写真から想像するに、旧の川はここで右へ向きを変えていたと考えられる。そして草津線をまたぐ。
写真はその遺構である。2014年1月の撮影だから、そんな昔の話ではない。大きなU字溝を渡したような構造で、川が鉄道をまたぐというイメージである。1つ上手の大砂川は何度か見てもらったように、完全なトンネルで鉄道が川をくぐっている。旧由良谷川の場合、写真のように電車が田んぼに沈み込んでいる。おそらく大砂川より、堤防そのものの高さが低かったのであろう。
このあと、同じ年の12月に行ったときにはその遺構はなくなっていた。
写真ステージ 「近江富士」
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