Nさんのこと

家棟川河口である。昨日の撮影場所から2Km弱下流に当たる。画面右外が湖岸道路家棟川大橋。その向こうは琵琶湖である。カメラの後ろがヨシが生える湿地帯だが、ヨシキリは鳴いていなかった。時期が過ぎたのだろう。
ヨシキリといえばぎおう教室のNさんが口を大きく開けて鳴いている写真を撮ってきた。望遠とはいえどうしてこんなに近くから撮れるのか。聞けば、「前日に現場の草刈りをしておく」のだという。それだけでは意味が分かりにくかったが、細かく聞いてみるとこういうことだ。
ヨシは背が高く人間の背丈を優に超える。その中にいるヨシキリを撮るには、まず見通しがきかなければならない。人間が近づけば逃げる。当然撮れるはずはない。事前に堤防上から、ヨシキリが止まりそうな場所を探してその近辺の草刈りをする。見通しをよくしておいてクルマでそこへ入って待つのだそうだ。人間が生身で待っていては鳥は近づかない。車だと知らん顔をして近づいてくるという。なるほど自分が近づくのではなく相手がやってくるのを待つわけだ。1枚の写真にもアイディアと努力が詰まっているのだ。脱帽。ちなみにNさんは私より先輩。80歳代半ばである。
写真ステージ 「近江富士」
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