ヨシ原

堅田・浮見堂の少し北、居初氏庭園近くのヨシ原である。4月半ばの写真だからいまごろは今年の新しい芽が出ているかもしれない。季節的なことは別にして、何ぼなんでもこの風景ではヨシ原とはいえないのではないかと思われる方のいらっしゃるはず。おそらくこれはしかるべく手入れをして作った風景であろう。
近くに城山三郎の『一歩の距離』の記念碑がある。戦争末期の予科練生を主人公にした小説で、その中で、敵機の空襲があると練習機を浮見堂付近のヨシ原へ隠すのが一つの仕事だったというくだりがある。いくら練習機とはいえ飛行機を敵機から隠し通せたかどうか、それはとものかく、私が初めてみた浮見堂も文字通りヨシ原の中に浮いていた。1970年代末ごろのことである。確かその後周辺が整備され、浮見堂の位置も確か沖の方へいくらか移動したはず。
そんなことで、このあたりの湖岸にはヨシ原のイメージが結びつく。ヨシ原に囲まれた浮見堂の写真も何枚かあったはずだが、フィルム時代のもので、おいそれと引っ張り出せないのが残念である。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば

