くちなしの花

きのう見てもらった大きな矢印より150mほど右へ寄った。矢印のところでは道に対してほぼ直角方向から見る状態だったが、ここまで移動すると山は川に対して斜めに見える形になる。手前の川が大山川だが、草が茂っていて道路から流れは見えない。対岸は画面左外にある桜墓園から続いていくる緑地である。大山川は30数年前に改修されたが、それ以前はどうなっていたのか。京都からやって来たよそ者には道さえ分からない状態だった。
山裾に屋根が光って見えるのが北桜の集落。その手前の緑が農地である。1978年、北桜の農地から撮った1枚。きょうの標題写真でいえば、川をまたいだ向こうの風景である。前景の林はいまはないが山の姿はほとんど同じ。当時、大山川堤防には近づくのもはばかられるほど木が密集していた。6月のある日、三上山側から見たいちばん外側にくちなしの花が咲いていた。白く大ぶりな花は暗い林をバックに際立っていた。それを前景に撮りたかったが、三上山と一緒に撮るためには林の中へ入らなければならず、到底無理だとあきらめた。梅雨の時期になると思いだす古い話である。
写真ステージ 「近江富士」
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