位置のアリバイ

通りがかりの民家の庭先に咲いていたヒマワリ、これはこれだけの写真である。かりにこれが40年、50年先まで残ったとしても、ヒマワリと三上山ということだけで、どこで撮られたのかが問題になることはない。ヒマワリは1年ぽっきりのもの。それが来年もそこに咲くという保証はない。そればかりか1年も経てば去年そこにヒマワリが咲いていたことすら忘れてしまう。
ところがこのあいだから問題にしている松の木の写真はやはり気になる。これは人々の心に残る。ローアングルにして、刈り取られた田んぼの上で、半分寝っころばるようにして撮ったときの記憶まで残っている。私が位置のアリバイにこだわる理由である。
写真ステージ 「近江富士」
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