偶然の一致

伊庭内湖に流れ込む大同川が、東近江市小川町あたりで2度、3度と90度ずつ稲妻型に屈曲する。その中で県道194号小川町交差点あたりの流れがちょうど三上山のほうを向く。ただそれだけの偶然だけど、ボクとしては何か珍しいものを発見したような誇らしい気持ちになる。たかだか偶然の一致ではないかと人は言う。しかしその偶然がありそうでない。たとえば無数にある畑の畝。これなど探せばいくらでもありそうなものなのに、これですらいままでに本当に一致したものに出会ったことはない。
もうずいぶん前のことなので、こまかい場所は忘れてしまったが、中主町の子供公園で、子供がくぐって遊べるようにと土管が2本、小さい盛り土の上に固定されていた。そのうちの1本が、望遠鏡で覗くように三上山が見通せるように思われた。が、現場へ行ってしゃがみこんでみたが、ほんのわずかにずれてアウト。
ことほど左様に2本の線の一致は簡単ではない。ましてや初めから基本的に思考の方向が違うアイツとアイツ。話し合って完全に一致するなんてことはあり得るはずはない。この先に待っているのはあの狂気でしかない。普通の人間なら誰でも分かっている話。いま、人間の知恵が問われる。
写真ステージ 「近江富士」
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