旧東海道から

栗東市六地蔵集落。旧東海道沿いに民家が並ぶ。したがって街道を歩いていてはほとんど広い風景は見えない。そんななかでここだけは思いもかけない大きな風景に驚く。地区の真ん中あたりに、自治会館風の建物があり(GoogleMapには六地蔵会議所とある。これが正式名称かも知れないが)、そこから街道を挟んだ農地側が空き地になっている。空き地は街道と同じ高さだが、田んぼから見ると2mほどの高みになっている。その端に立って見た風景である。
あぜ道というのか、農道というのか、とにかく見ての通り軽トラ一台分の道が微妙な振れを見せながら三上山に向かう。わだちは麦畑の手前で途切れているが、道はその向こうの草津線の手前まで続いている。ということで麦畑とその奥の集落との間を草津線が走っている勘定になる。待っておれば電車は来るのだろうが。
写真ステージ 「近江富士」
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おてもやん

野村石材店の資材置き場からもう一点。可愛いおてもやん。ほんまにおてもやんか? あたまに頭巾らしいものをかぶっているから、どこか雪国の女の子と違うのか。そんな声も聞こえてくる。しかし、私にとってはこんな女の子はみんなおてもやん。
昭和26年、高校3年の秋、米をもって修学旅行に行った。旅館では女中さんが、その米をいちいち枡で量って受け取った。昭和20年、敗戦の年、小学校6年。修学旅行もちろんなし。昭和23年、学制改革の翌年、新制中学3年、5年制で入った学校が3年で卒業といわれても卒業そのものがぴんと来ない感じでこれもなし。高校でも修学旅行があるなんて考えてもいなかった。3年のそれも夏に近くなったころ、思いついたように秋に修学旅行をやるという。いま、高校3年の秋に修学旅行をやっている学校など、日本中どこを探してもない。
そうして行った九州、今では考えられないような土産物売り場の店先に、おてもやんの絵が並んでいた。TVも、旅の雑誌も、ガイドブックも何にもなし。ラジオもNHKだけの時代。高校3年のそれまで「おてもやん」なるキャラクターの存在を全く知らなかった。以来、この手の顔に出くわすと、昭和26年秋の思い出につながるのである。
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ケロヨン

麦畑のそばにケロヨンがいた。今の若い人にケロヨンがわかるのだろうか。しかし、そんなことはどうでもええ。この文章を読んでくださるぐらいの方なら、みなさんご存じのはず。資材置き場に無断侵入して勝手に撮っているのだから、まずはお許しを。表示の看板には野村石材とあった。場所は栗東市六地蔵、旧東海道のそば日向山登山口前である。
それはともかく、麦畑にカエルは似合わない。カエルには田んぼ。とにかく水が張られた直後の鳴き声はすごい。今は住宅が増えてあまり聞こえなくなったが、引っ越してきた直後のころは夜窓を開けておくとやかましいぐらいの大合唱が聞こえてきた。バックが水田に変わった時にもう一度と思うが、その時までにこのカエルがここにいるか、その時に私がここへ来れるかどうか。諸行無常。
もうひとつ「人」の字をテーマにした作品。こちらを標題にしようかとも思ったが、右側の井形の枠が強すぎて…。
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麦秋

麦が色づきまさに麦秋。新しく塗り替えられたらしい土蔵の白壁がまぶしい。国道1号高野交差点から紫香楽へ向かう県道12号が、草津線とクロスする少し手前。左後ろを見るとこの風景が見えてくる。
もちろんこの場所は初めての場所ではない。というより撮り始めてはじめてのころからなじみの場所だった。古い昔の話だが、ここで三脚を忘れた記憶がある。置き忘れたなんてものではない。使っていた三脚からカメラをはずし、そのままの姿で放置して来たのである。自転車だったか、バイクだったか。途中で気がついて折り返した。幸いそのままの形で残っていた。
田んぼのふちに土蔵があって・・・、30数年前と同じ風景である。変わっていないなと思う。大枠が変わらないまま全体が新しくなったといえばいいのか。それにしても昔三脚を立てた場所が見当たらない。歩道もない片側一車線の細い道である。まさか道の真ん中に三脚を広げるはずはない。道端にちょっとした空き地があったはずだが、それが見つからないのである。
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緑濃く

甲西北中学の西に広がる農地である。かつては野洲川の南側、国道1号の喧騒とは逆に、十二坊の山すそを行く県道27号が唯一の道路で、それにへばりつくように集落が続いているという静かな場所だった。
そこへ1号バイパスがやってきた。その工事が始まったとき、これでこの風景もダメになったとため息をついたが、今のところ単純に道路ができただけで、それに伴う建物などは皆無。広い風景は残っている。現時点では片側1車線の暫定開通であるが、用地は片側2車線分確保されている。これが完成したときどうなるか。
画面右端に白く輝く2つの長方形がバイパスを行くトラックである。左の大きな山が菩提寺山である。
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緑濃く

気がついたら今年ももう6月、田んぼの緑が濃くなってきた。
きのう見てもらった国道岩根花園交差点を右に折れて、県道27号とのT字路にやってきた。三上山と重なっているのが甲西北中学の体育館。田んぼの中の1本道に電柱が並び電燈がついている。田んぼに照明、奇異に感じるが、実はこの道、中学生の通学路になっている。日が長い時期はともかく、冬場には必要なのだろう。このときはまんがわるく誰も通っていなかったが、登下校時にヘルメットの列ができる。もっとも農道なのか通学路なのか、部外者にはわからないが。
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