動かない絵

琵琶湖大橋取付道路播磨田町北交差点。北側(三上山側)の角にメディカルツインという2棟の双子ビルが建っている。ある日、その交差点がべらぼうに混んでいて、一辻琵琶湖側の里道に入り込んだ。初めての道だった。ちょっとした集落を通り抜けてひょいと右を見るとメディカルツインと三上山が並んで見える。思っても見ない構図だった。
クルマというものは不便なもので、思いついたところでは止まれない。しかるべき安全なところへ置いて歩いていくわけだが、大抵はこんなはずではなかった、クルマで見たときはよかったのだが…ということになる。このときも同じだった。クルマから見たときは動いていることでもあり、細かいこにとは気がつかない。メディカルツインと三上山が並んで見えたというイメージだけだったが、実際に歩いて行ってみると、やっぱり・・・。たとえば走っているクルマから見た風景は上の小さな写真、建物と三上山だけが見える。歩いて行ってゆっくり見た風景は、それをクリックして拡大した風景ということになる。途端に電線が目立ってくる。昔ならそれだけでボツにしていたが、最近は少々のことには目をつぶることにしている。
TV局のカメラマンなどを案内すると、何でそんなところを撮るのかなと思うようなことがたびたびある。作品になって放映されるとそれがちゃんとサマになっている。大概はカメラそのものが動いていたり、ズームしたりパンしたりして絵が動いているのである。ワシらは動かへん絵で勝負しているんや、多少の自負を持っていたが、最近それが甘くなったなと思うのである。
写真ステージ 「近江富士」
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