昔ここに木があった

東近江市市子沖交差点、蒲生西小学校の近くである。その交差点から200mほど西方、田んぼの中に大き木があり、その下に三上山が上半身だけを見せていた。蒲生町周辺では鏡山から十二坊に続く尾根の上に、顔だけを出すという状態で満足な風景にはならないが、太陽が落ちるときだけは何となく撮ってみようかと思わす風景になっていた。標題写真は1995年、今から20年前の撮影である。
ある日の夕方、交差点近くの民家の前でその木と三上山との組み合わせを狙っていたら、若い奥さんが出てきて、「三上山を撮ったはるのですか、それやったら2階からよう見えます。どうぞ上がって見てください・・・」という。見ず知らずの私がよほどの善人に見えたのだろう。道路からでは山が低くて絵にならないところだったから、渡りに船と上がらせてもらった。小学生ぐらいの子供さんがいる雰囲気だった。
なるほど地上より2階のほうが風景よい。けれどもご多聞に漏れず目の前に電線が・・・。これはアキマセンともいえず、シャッターを切るふりをしてありがとうございました。できた写真をもってお礼に行くべきだったけれども、それもできず不義理なことをしてしまった。心が痛む思い出である。
標題写真がその時のものかどうか記憶が怪しいが、撮影場所が民家の前だったことは間違いない。先日久しぶりでその辺を走ってみて、確かこの辺だったな・・・と、よく見ると木がないのである。以下明日。
写真ステージ 「近江富士」
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