番外編・笹尾峠

ここのところ笹尾峠にうつつを抜かしていている。といっても何のことかと思われるはず。しかし、それは後回しにして、まず三上山のストックがなくなったという話。最近のがなければ、去年でも一昨年でも、古いのを使えばいいじゃないかと思われるだろう。実は私もそう考えていた。事実今までにもそういうことがなかったわけではない。ところが今年はダメだ。たとえば去年の同じ時期のを持ってくると風景が違う。一言でいうと季節が違うのである。例年この時期になると野洲川流域から比良山をバックにというのが定番になるが今年はまともな雪がない。難儀なものだ。
ということで思い切って番外編で・・・。「笹尾峠」、野洲川源流、甲賀市土山町と蒲生郡日野町との境の峠である。昭和56年(1981)11月発行の国土地理院2万5000分の1。最初の写真集『四季近江富士』(1982)を出版した後、野洲川源流を撮っていたことがある。このときに使っていたのだろう。私が持っているこの地域の一番古い地図である。これにこの名前がある。東海道と中山道だけが街道だと思っていたころの話である。
たとえば、鈴鹿峠や武平峠など、他府県との境の峠は明記されている。県内すべての地域を調べたわけではないが、県内郡境・市境などの峠が記載されているのはおそらくこの笹尾峠だけではないか。撮影のあとさきに地図を見るとき、この名がいつも気になっていた。30年以上も昔、古い話である。
写真ステージ 「近江富士」
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