電車の宿命

由良谷川堤防から三雲に向かって旧東海道を走ると、もう1本大砂川トンネルをくぐる。何となく撤去工事が始まりそうなのだが、いまのところはまだ目立った変化はない。それを見極めて三上山側の農地へ回ると、なんとなくええ加減なコスモス畑が広がっている。雑草の中に去年のコスモスが顔を出したような。一面コスモス畑でございますというよりも、架線の支柱もあることだから、こういう雰囲気のほうがいいかもしれないな。と、遠くで踏切の警報が鳴りだした。
こうしてつらつら眺めてみると、架線の支柱はつらいな。電車の宿命、こればかりは仕方がない。遠い話だけど、蒸気機関車の末期、秋田駅構内で架線のない風景に感動した。9800やハチロクがとぼけた顔をして煙を吐いていた。東海道線が電化されたとき、煙のない旅がいかにありがたかったか。人間というヤツはそのときそのときで好き勝手なことを言う。イエイエ皆さんのことではアリマセン、私自身への戒めでございます。
写真ステージ 「近江富士」
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