消失点

日野川下流右岸、近江八幡市側である。画面右の方、三上山と重なっている堤防が日野川である。手前の田んぼは田植えも終わって稲が伸びてきているが、隣では水が入りかけているところ。遠くの田んぼではきょうが田植えというところだろうか。
畑の畦もそうだけど、このような田植え直後の田んぼなども、田畑の面に方向性が強くなる。苗の線が完全に三上山に向かう場所を探しているが100%これだというポイントにはいまだに出会っていない。いまの場合だともう少し右へ寄りたいところだが、この”少し”が簡単な話ではない。いまカメラの真正面は三上山の左裾。それを頂上の真下まで移動するとなると、その距離は三上山の半径、約700mということになる。
たとえば今の場合、左から右へ向かって歩いてきたが、1枚前のシャッターはこの写真である。堤防の奥に見える2階建ての大きな家、これが三上山の右に見える。それが標題写真ではうんと左へ寄っている。それぐらい歩いているのだがイネの線はほとんど動いていない。イネの線の消失点に三上山が立つ風景、口で言うほど簡単な話ではない。
写真ステージ 「近江富士」
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