水郷巡り

動力船は橋をくぐって西の湖の方へ出ていった。たぶんどこかを回って帰っていくのだろう。やっぱり手漕ぎの船を撮っておきたい。腹を据えて待つことにした。無念無想・・・。
向こうの木陰から一艘現れた。日陰になってわかりにくいが、三上山から右へ少し離れたところの橋をくぐって現れて、そのあとさらに右へ離れていく。どうもおさまりが悪い。その後、近づいてくるにしたがって、船はこちらへ向かう姿勢になる。しかし、無表情な湖面ばかり広くて、これでは何を撮ったのかということになる。おそらく次のを待っていても同じことだろう。
かえり、水路のそばの道へ出た。向こうに水田が広がっていた。道路沿いには邪魔になるぐらいこんもりとした木が生えている。手前にそれを入れようとした瞬間、音もなく船が現れた。突然だった。普通は船が近づくと話声が聞こえたりするものだが、このときは全く音なしだった。 それが標題写真である。いまの今までこのイメージは作れていなかった。岸には桜の木も植わっていて、教室の皆さんが水路方向の写真を撮ってくる場所である。これに気がつかなかったのは不覚だった。
写真ステージ 「近江富士」
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