30数年ぶり

日吉大社大鳥居の南に「石川町」という信号があって湖岸へ向かって100mほど細い道が伸びている。バイクで走っていたころは定番のように入り込んだ場所だった。車になってからは置きにくいのと返しにくいのとでいつの間にか足が遠のいていた。先日、30数年ぶりで歩いてみた。突き当りに面白い木が生えていたが、何とも視界が狭い。右へ折れて波打ちぎわへ下りてみて、そういえばこんなところだったかなとかすかな記憶がよみがえってきた。
反対の左側は、無理にとれば撮れなくはないが、木が多くここも視界が狭い。以前はこんなことはなかったような気がするが。沖をボートが通り過ぎる。それに気をとられてシャッターを切ったが、帰ってからよく見ると右下にぼけたツバメが写っていた。杭のてっぺんにツバメがぶつかっているように見えるが、杭に見えるのが左の羽である。けったいな写り方をしたものだ。
写真ステージ 「近江富士」
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似てますやろ

浜街道沿いのゴルフ練習場。これでこのあたりから足が遠のいた。多分、建ってから10数年になるはず。いま改めて撮ってみると、これが風景のアリバイになるのだから皮肉なものである。たとえば日吉神社の大鳥居の左足から。長方形のネットは右裾と重なる。標題写真の場所は、鳥居より少し右へ寄ったところということになる。
1977年10月10日、生まれて初めて朝の湖西を走った。びわ湖の日の出がこんなに美しいのかと感激したが、結局何も撮れずに唐崎あたりまで行って引き返してきた。その帰りこの鳥居付近で一艘の釣り船がシルエットに浮かぶのを見た。ハイキーに焼いて1回目の個展に出したら好評だった。
さて先日、鳥居の少し南の湖岸で2人乗りの釣り船を狙っていたら、左の方からカヌーが一艘やってきた。おッ、これはひょっとしたら・・・・。ということでぎりぎりまで待ったのが標題写真。わざわざ何でそんなけったいなことを。そうしておいて2人乗りを消したのがこの写真。どうです、ちょっと似てますやろ。秋の空には及びもつかないけど。
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出舟入舟

比叡山中から四ツ谷川という小さな川が流れだし、湖岸に建つ日吉神社の大鳥居の少し南で小さな岬を作る。右岸に建つホテル井筒の船着場に船が出入りする。フィルムで撮っていたころ、よく通ったところだったが、対岸の浜街道沿いにゴルフ練習場のでかいネットが建った。これが何とも邪魔になっていつの間にか足が遠のいた。いまもこの画面、三上山の左下に長方形のネットが写っているが、光の状態で見え方が変わる。いまとなってはこの程度なら我慢する以外どうしようもない。
◆雨が降らない。大津市で32度、土山町でも30度を越えたとか。そんな中で面白い体験をした。
午後3時ごろ石榑トンネルを三重県側から滋賀県へ抜けた。トンネルに入ってしばらくすると車内の温度が上がってきた。何となく蒸し暑いのである。エアコンの設定温度を少し下げた。効き目がない。もうちょっと下げた。蒸し暑い。故障かな。設定温度は確か冬の間は22.5℃になっていた。しかし先日、25℃ぐらいに上げた。エアコンの表示画面はバックライトがないのでトンネル内では読めない。故障だとしたら面倒やなー。と、何?、20℃?。エアコンの設定温度ではない。外気温がである。その次の瞬間21℃に上がったが、瞬間的には確かに20℃を見た。
平地では30℃を越えるカンカン照りである。それにもかかわらずトンネル内は21℃だったとは。エアコンは忠実に暖房に切り替わっていたわけ。石榑トンネル、永源寺から三重県へ抜ける峠のトンネルであるである。出口の標高、三重県側400m、滋賀県側500m、長さ4000m(すべて国土地理院Web地図からの概算)。永源寺側へ出てすぐ外気温は27℃に上がった。平地での気温を考えればそんなものだろう。トンネル内の温度は7度も低かったのである。
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風景のアリバイ

唐崎園地、唐崎神社の少し北に当たる。国道161号からいったん唐崎神社への進入路へ入り、そこから駐車場へ入る。それはいいのだが、園地そのもの周囲に樹木が多く、琵琶湖岸にありながら琵琶湖が見えにくいというもったいない場所である。たとえばこの写真、湖岸から少し離れて撮ったものだが、三上山は見えるが、どこで撮ったのかおそらく自分自身でも10年もすればわからなくなる。あと10年も生きられないのだから、余計のこと、誰でもがその風景を探し出せるように、写真の中に”風景のアリバイ”を写し込むことが必要だと考えている。
標題写真は、湖岸の草を分けて前へ出たところである。左手に白い桟橋が見えてくる。表の国道沿いに、同志社大学ヨット部云々という表示があったから、それに属するものだろう。これも一つのアリバイではあるが、この写真の最大のアリバイは、三上山の背後に伸びる鏡山から十二坊への稜線である。さらに細かく言えば十二坊と菩提寺山との重なり方だが、この写真ではその関係がはっきりしない、残念である。
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大木の夏

雄琴港の琵琶湖グランドホテル駐車場である。その湖畔に生えている大木の夏姿を撮ろうと出かけていった。が、なんとなく雰囲気が違う。幹に蔓が巻き付いており姿そのものに生気がない。このまま衰えていくのだろうか。こういう姿を見るといつも蔓を切ってやればいいのにと思うのだが、そういうわけにもいかないのか。一時的なトラブルで終わればよいが。雄琴港のシンボル的な存在だっただけに気になる。
そのあと本館の裏手へ回ってヨシ原の向こうの琵琶湖を。以前からヨシの多いところだったが、それらが少し沖へ出た。以前はもっと近く、背が高く撮りにくい場所だった。
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その気で見る

和邇川デルタの先端である。左岸から右岸を見たところ。ここへきてやっとはっきり全貌が見える。今回の場合、道を間違えて途中から堤防上へ上ったから昨日のような絵が作れたが、予定通り湖岸線を歩いていたら、ここまで三上山は見えなかったはず。これも当然の理だった。さらに先端の方へ進むと松の木が消えて、ラフォーレ琵琶湖が見えてくる。左へ眼を転じると右岸の砂嘴が張り出し、その遠浅で釣りを楽しむ人が。沖島が見えその左には伊吹山が見える。
ところで、もう一度標題写真に戻る。右肩に妙なコブが見える。言うまでもない菩提寺山である。ここからこうして見えるということは、八屋戸の棚田や喜撰川河口からも見えるはずである。改めて見直してみた。八屋戸の棚田。ちょっと霞んでいて見にくいが、その気になって見れば何とか見える。喜撰川河口。ヨシの先と絡んでいるがここからもはっきり見える。もう一度標題写真を。ちょろちょろと生えた枯草の左、湖岸道路の野洲川の橋が見える。その気になって見ることの大切さ。もっとも、見えても見えなくても一銭の得にもならないのだが。
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和邇川堤防

その道を進んで和邇川左岸堤防へ上る。遠くヨシの葉陰に麦藁帽が動く。草刈り中かなと思っが、近づいてみると魚釣りの男性だった。そうだわなこんな川の草刈りを一人でできるはずはない。川は下流に向かってちょっと右へ振る。その先に三上山。ここも堤防の上を岬に向かう途中で見ているはずだが、いつもいつも来る場所ではない。 何となく初めての風景を見る思いだった。
堤防の向こうにビニールハウスがあって、その向こうに三上山が見えるようだが、画面を伸ばしてみるとすぐそこが琵琶湖で、水平に続く黒い線は対岸の松並木なのだ。そういえばすぐそこが岬なんだ。
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和邇川堤防

和邇川デルタと三上山の関係、一言でいうと訳がわからないということになるのだが、デルタそのものの様子も必ずしも一定不変ということではなさそう。和邇川沿いの道路を走って岬まで行ったことは何度もある。しかしゆっくり歩いてというとことはなかった。ラフォーレのびわ湖WKのときに歩いているはずだけど、あの時は三上山を背にして歩いた。天気もいいことだし歩いてみようか。何かが見えてくるかもしれない。
と湖岸を歩きだしたのだが、三上山から見て岬の裏側の道である。山が見えるはずがない。が、途中で道を間違えたらしい、和邇川堤防の向こうに三上山が現れた。旧161号を北から南下するときに見える構図だけど、ここまで堤防に近い距離から見るのは初めてだった。後で考えてみると間違えて入り込んだその道は岬を横断する道路で、三上山を撮りだして間なしのころ、バイクでよく走っていた道だった。そういえば山が正面に見える今宿浜(岬の南側)からはよく撮っていたが、裏側(北側)へ回る和邇浜からは撮った記憶がない。その当時、走りながら見ていたはずのこの構図、その時点では撮るに足りない風景だったのだろう。
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