若桜物語・2

さて、鳥取県若桜町。鳥取市から南東へ直線距離で26Kmあまり。中国山地の真っただ中といったところである。標題の写真は若桜鉄道の若桜駅。背後はご覧のような山、カメラの後ろもちょっとした市街地を挟んでやっぱり山、山間の小さな町である。
こうして分かってしまえば何でもないことなのだが、鳥取からの車の中で私はあらぬ妄想にとりつかれていた。「若桜」(わかざくら)が、どうしてもあの時代を思い出させるのである。確か、こんな歌があったよな。
・・・・花も蕾の若桜(わかざくら) 五尺の命引っ提げて
国の大事に殉ずるは われら学徒の面目ぞ
ああ、紅の血は燃ゆる・・・・
調べてみたら、戦争も末期、昭和19年、作詞は野村俊夫(戦後の「湯の町エレジー」の作詞者)だという。有無を言わせぬあの時代、この若桜(わかさ)という地名が、少なからぬ影響を受けたのではなかったか。
そんな思いを吹っ飛ばしてくれたのが、山に囲まれた穏やかな風景と、街角で見た草野球。日・英・中・韓4か国語で書かれた駅名表示の大らかさ。そして極めつけはキセルもパイプも大歓迎というこの風景だった。意味はお分かりですよね。
写真ステージ 「近江富士」
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番外編 山陰海岸

