白い風景

快晴の冬の朝、我が家から見ると山全体が白くわずかにブルーがかって見えることある。ところがその明るさが、いつもの撮影場所、新幹線の向こうまで行くと微妙に変わる。それを見極めるのが難かしい。この日はそれがわずかに濃く見えた。いつもはズボラ癖で、どうせ行ってもダメだろうとも逃すのだが、この日はひょっとしてとの思いが強かった。モヤが濃く、肉眼で見ても山体が見えるか見えないか。よほど意識してみなければ見えないかもしれない。しかし私としてはイメージ通りの線が出たとの思いが強い。
撮影し終わって、もう帰ろうかと思っていたとき、住宅地の方から男性が一人子犬を連れてやってきた。通り過ぎればちょうど後ろ向きになる。狙いは山だし、あまり大きく入れすぎると犬の散歩の写真になる。これが最適だったか怪しいものだが。前方では国道8号のバイパス工事が始まっている。まだ平面的でほとんど目立たないが、鉄塔の右に見える田んぼへのスロープは工事のために新しく付け替えられたものである。
昭和30年代、京都の古書店で岡田紅葉の『富士』という写真集を見つけた。そのなかにススキの穂を前景に、どこにあるの?と探さなければならないような富士が写っていた。忘れられない1枚である。もちろんそれの足元にも及ばないが。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


Posted by
八田正文
at
08:32
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