雄琴川デルタ

まず昔の写真を2枚見ていただきたい。どちらも撮影は1970年代後半。1枚目。細い川が琵琶湖に流れ込む。堤防も何もないただの小川に板の橋。両側はどちらも畑だった。これが雄琴川河口だといっても、いまの川をご存知の方には到底信じてもらえないだろう。位置的なアリバイは三上山から右に伸びる十二坊の形以外にはない。もう1枚。これは国道161号、山下湾沿い、いまのアークロイアルボートクラブあたりから撮ったもの(当時はもちろん何もないただの湖岸だった)。ヨシに覆われた岬の向こうに三上山が見える。2枚とも山の形は同じである。
その後。雄琴川の改修が行われた。堤防がかさ上げされた分、岬そのものの分厚さが増した。これが現在の姿。民家の棟に届こうかという天井川に比べれば低いものだが、それを通して向こうの山を撮ろうとする者にとってはこの分厚さが苦しい。標題写真では三上山の右が見えにくいが、それ以外の3枚は、すべて山の形は同じはずである。
写真ステージ 「近江富士」
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