カメの昼寝

背の高いヨシが群生する小道を抜けると小さな漁港に出る。三上山を撮りだしたころ、冬の朝ここへ来るのが楽しみだった。港そのものよりも、その外でこんな写真が撮れた。もう1枚おまけ。今現場に立ってどう考えてもその場所が思いだせない。風景が消えたのだろう。
そのころは純然たる漁港だったが、その後時代の流れでヨットはバー化した。いまはそれも中途半端、半分沈んだ船のヘリでカメが昼寝をしていた。水辺でカメに出くわすことはよくある。が、姿を見ることはほとんどない。ボチャンという水音で、ああ、カメがいたんだなと察知するだけである。中にはとんまなヤツが逃げ場を失ってすたこらさっさというのもたまにはあるが。
カメが人間を感じるのは、音なのか振動なのか。念のためと足音を立てて見た。知らん顔。完全に無視された。あとは振動だけど、半分沈んでいるとはいえ、相手は船の上。おそらくこれも伝わらないのだろう。馬鹿を見たのはこちら。相手は安全圏にいることを知っているのだろう。
写真ステージ 「近江富士」
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