古武士逝く

さくら墓園の古武士、と書いて分かってもらえるかどうか。とりあえず現役時代の姿(1991年4月14日撮影)から。20数年前の撮影だが、背筋を伸ばしてすっくと立つ姿に、そのころから古武士の風格があった。『近江富士百景』に収録し、”かつては松の老木を中心とした林になっていたが、大山川改修工事・公園墓地の造成のため伐り払らわれてしまい、この桜の古木だけが残された。古武士を思わす風格のある木である。”と文章を付した。その古武士が伐採された。
標題写真の撮影は今年の4月4日。コブシの撮影に行って、何んとなく大山川沿いの風景が違うぞと、この木がなくなっているのに気がついた。しかしサクラの時期に取り上げるにはしのびず、今までとっておいた次第。
切株の状態からして、切られたのはつい最近だと思われるが、私が記録しているいちばん新しい姿は、昨年春の4月4日のものである。20数年前に比べて木そのものは太くなっていたが、折れた枝が横たわり、形ばかりのロープで括り付けられていた。枝はすたすたに折れ古武士まさに逝かんとすという姿であったが、それでも花はつけていた。以下明日。
写真ステージ 「近江富士」
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