麦畑

きょうは緑。これで赤、黄、緑と交通信号の色がそろったことになる。いま、ムギの緑が美しい。土色の中に小さく交じっていたムギの緑が、あっという間に緑一色いなる。この間が短い。4,5日、いや2,3にも感じられる。実際はもう少しかかっているのだろうけれど。
この時期になると、野洲へ引っ越してきたころ、近所のお寺のご住職から聞いた話を思いだす。”昔はね、この4月初めに三上山に登ると、赤、黄、緑が折り重なってそれはそれはきれいなものでした。赤はレンゲ、黄は菜の花、緑はムギですわ。三色のじゅうたんを見る思いでしたな。”
写真ステージ 「近江富士」
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レンゲ畑

きょうは赤で行きましょうか。今年は比較的民家に近いほうに作られている。きのうの菜の花の画面にも写っていたが、四角い洋館風の建物が目立つ。午後になると真正面から光を受けて処理がしにくくなる。午前中の光でごまかすのが最初の手。次はできるだけワイドにして、集落全体を小さくしてしまう。しかしこれでは当たり前だし大して面白くもない。で、こんもりと盛り上がっているところを利用してごまかしたのが標題写真。
小さな看板が立っていた。表へ回ってみると「花まつりのれんげ畑です。照覚寺」とある。そうか花まつりか。お釈迦さまに甘茶をかける。子供たちが楽しみにしてゴザイマス。和尚さんの法話を聞いて・・・。人間誰しも失敗もするしウソもつく。しかし、白を黒といいくるめて、しゃーしゃーしている人間にだけはなるなよ。
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犬が吠える

もう1つ、黄色でいきましょうか。民家の裏庭にナノハナが咲いていた。庭といっても別に囲いがあるわけでもない。しかし、大きな顔をして近寄るのもはばかられる。左前方に小屋があってそれを隠すのにもう1歩と思ったときに犬が吠えだした。自分自身は戌年だけれど、犬をなつける能力はない。もうちょっと辛抱してくれと、とりあえず1枚だけシャッターを切ってほうほうの体で逃げてきた。
・・・と記憶してゴザイマス。・・・考えてゴザイマス。国会答弁用語。けったいな言葉がはやりだした。犬にほえられて困ってゴザイマス。それにしてもクロをシロという能力のすごさ。
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ある晴れた日に

昨日(4月10日)は朝、濃い霧だった。それがようやく晴れた10時過ぎ、それでもまだモヤが残り、遠望は利かなかった。ということで近場巡り。
一昨日のアホな話をシャチョウに話したら、昨日だったか、きょうだったかTVでタンポポをとり上げていて、タンポポは太陽光に敏感で、たとえば雨の日など、太陽が照らない日は開かないのだとか。さもさも自分がタンポポの親分のような顔をして教えてくれた。
長説教を聞かなくとも、春先のこんな天気のいい日だ、タンポポは開いていて当たり前。農道にしゃがみ込んでバリアングルでゆっくり遊んでいたら、先ほどすれ違った宅急便のトラックが戻ってきて、まだやってるのかいなというような顔をして遠り抜けていった。
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竹の秋

比留田の家棟川沿い、家庭菜園の一角にあるこじんまりとした竹藪。誰かがこまめに手入れしているらしく、いつ見てもととのった形を見せている。三上山と組み合わせてと思うのだが、奥に見えるクリーム色の倉庫が目障りになって、いつも二の足を踏んでいる。竹は出したい、倉庫は隠したい。結局どっちつかずの絵になってしまうのである。
その竹の葉が色づいてきた。竹の秋、みどりの麦。耳を澄ませばヒバリのさえずりが聞こえてくるころである。
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新聞休刊日

三上の農道にタンポポがわんさか咲いている。朝起き出してすぐカメラをぶら下げて出かけていった。?、咲いていない。昨日の午後、撮ろうと思っていたら曇ってきた。風も強くて寒い。明日は新聞休刊日だから、朝イチで撮りに来ればいいと思ったのがコトの起こり。そのタンポポがどこにもない。よくある話だ。きのう、あれから一網打尽に刈られてしまったのか。しまったあのときに撮っておけば・・・。
と、よく見ると全部しぼんでいる。刈り取られたのではなかった。夜の間にしぼんでいたのがまだ開いていないのだ。考えてみれば当たり前の話だった。先ほど出かけに、散歩帰りの奥さんから声をかけられた、「三上山ですか」と。「ハイ・・・」と返事をして”タンポポがきれいなので”といおうとして飲み込んだ。ああ言わんでよかった。もし言っていたら、”タンポポ咲いてへんのに”と、大笑いされていただろう。
◆ところで、新聞休刊日の前日の阪神、対中日戦。どちらも救援投手の思わぬ乱調でしょうもない点の取られ合い。その乱調が2人だった阪神が1人だった中日に負ける。こんなことしとったらアキマセンな。一旦はリードして、”さすが新聞休刊日の前日”といえるところまでは行きかけたのだが。
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陰を感ずる

右端に見えるのが西林寺の本堂。その左に桜が見えるといえば,アホか何考えとんねんと一蹴されるはず。いや、そのアホなことをここへ来る今のいままでまじめに考えていた。夕日を受けて見ごとに輝いていたのが記憶に残っていたからである。しかし記憶は写真には写らない。これはダメ。日が当たっていないはずはないのだが、花が弱かったのだろう。
しかし、花を輝かせなかった弱い陰りが面白いことを演出してくれていた。その花のてっぺんから見えるか見えないかの淡い緑の線が左上へ上がっていく。いちばん外側の稜線の少し内側を下から3分の2ぐらいまで見える。右の雌山が淡い陰になり、日が当たっている手前の緑の線との間に明暗差をつけているからである。
この緑の線こそ、私がいう西尾根、御上神社側からの表登山道に当たる。そして、さらに付け加えて言うなら、下から登ってくる外側の稜線に、上から3分の1ほどの間、神さんが削り残したような薄いふくらみが見える。実はこれ、稜線の膨らみではなく、南桜側へ下る南尾根の最上部が稜線越しに見えているのである。サクラはスカを喰らったが、めったに見られない雲の演出にしばし目を細めたことだった。
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ツバメが来た

湖南市夏見、由良谷川の下を東海道がくぐるトンネルの上である。このあたりではここのところずーっと由良谷川の改良工事が行われていて、先日も3月28日の項で上流部の工事の様子をレポートした。これは去年の2月の撮影。川が平地化されるのだから、天井川だった旧堤防は撤去されると思っていたのだが、久しぶりで行ってみたら、堤防はトンネルのすぐそばまで撤去されていたが、トンネルには右側が新しく補強されていた。どうやら保存されるらしい。貴重な文化材だから大賛成。トンネルの上からはすぐ下を行く東海道が見える。
前置きが長くなった。前回3月に行ったときにはまだ咲いていなかったので、4月3日に改めて行ってみたときのものである。何枚か撮った中で一枚だけ、ツバメが三上山に向かって飛ぶのが写っていた。まさかこんなに早くツバメを見るとは、思ってもいないことだった。
あとはつけたし、写真を見てふと思った。これは戦前の特急だ。そのころの東海道線の特急といえば、展望車がついた”つばめ”、”富士”が有名だが、もう1本、展望車がつかない2.3等特急”さくら”があった。小学校へ入る前、京都駅で見たことがある。何や、展望車はついてへんのかと、落胆したことが思いだされる。
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