棚田のひととき

昨日の写真を撮ってから仰木の集落を抜けて棚田へ出る。道が2つに分かれ、片方はドライブウエーをくぐり、「元三太師道」との案内を示す道はドライブウエーに沿って登っていく、そんな場所である。初めて来たときには道沿いの建物はなかったはずだが。琵琶湖の方に向いては大きな変化はないから、とにかく写真は撮れる。着いたときには東の方にまだ赤みが残っていた。
目まぐるしく天気が変わる日で、比良山に続く裏山の斜面に日が当たりだす。それにつられて碑の側面を見ると「堅田町、大正赤信講」とある。今までこれを見ていないはずはないのだが、意識したのも撮影したのも今回が初めて、それはそうだろう、きょうのような天気でなければ、こんな無茶苦茶な構図の写真を撮るはずがない。などと時間つぶしをしていると、手前の棚田に陽が照りだした。それが標題写真。光はいいのだが三上山がねー。最初の1枚から時間にして10分余り。どちらがいいのだろう。
写真ステージ 「近江富士」
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高みから

仰木の集落から奥比叡ドライブウエーが分岐するところ。信号には仰木郵便局前とある。道の下が崖になっていて、下に立つ家屋の2階が目の前に見える。地図で求める標高は186m、向こうに見える住宅地の手前の農地で大体130mぐらいだから、その高度感が分かってもらえよう。琵琶湖の手前左側に広がる住宅地が仰木の里、画面中央に見える学校が北大津高校。山の並びで特筆したいのが十二坊。三上山のすぐ右、台形の一部を見るような特殊な形に見える。このあたりからの展望の特徴である。
家を出るときは結構晴れていて、そこそこの展望を期待していたが、現場に近づくにつれて雲が厚くなり、風景にコントラストがなくなる。ダメならやめればいいのだけれど。
写真ステージ 「近江富士」
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ススキ立つ

野洲市北桜、三上山と名神高速道路に挟まれた農地である。名神で西から東へ向かうとき、野洲川を渡って菩提寺PAへの上りにかかるまでの間、左手にこの農地が見える。撮影場所はその農地の東の端、天山の麓を走る自転車道からである。30数年前、私が三上山を撮りだしたころには、ところどころにこのような疎林が立ち風景を作っていたが、圃場整備とともに切り取られ、花緑公園から流れ出てくる小山川が大山川へ迂回するようになり様子が変わった。いま、自転車道はその小山川沿いを走っている。
まったく雲がなかった一昨日(11月2日)の夕方、何ぼなんでも青一色の空ではと、背の高い穂をワイドで目の前へ。理屈ではわかっているのだけれど、草の中へもぐりこんで、カメラを上へ向けるのは結構面倒な仕事だった。・・・と、ぼやいてみても何がどうなるわけでもない。結局好きだからやっているのです。
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屋根の上に

八幡山城址の西麓、南船木町に八王子神社がある。集落内の里道を行くと村社・八王子神社という石標があって、さらに奥まったところに鳥居に続く階段が見える。鳥居とすぐ横の電柱との間に綱を渡して、「イノシシ注意」の張り紙が。まさかと思って登っていくと灯籠にも同様の表示が。いずれも新しくつい最近の話のようだ。八幡山にはロープウエーも通じ、観光客の足が絶えないところである。そこにイノシシ。今どきだからそんなこともあり得るかもしれない。
登ってみると民家の屋根越しに三上山が見える。もうちょっと高いところまで上るのかと期待したが意外と低い。しかし贅沢言っても仕方がない。ここはと思って行っても見えない場合の方が多いのだから。
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方位5度の構図

日野川の下流部は野洲市と近江八幡市との境をなしている。ここはその左岸、野洲市側の堤防である。堤防に上ったところはもっと下流で、すぐそばを流れる家棟川との間隔が狭かった。上流へ歩きだしてすぐ竹藪の陰に入り200m余りの間、野洲市側の視界が塞がれる。ここはその竹藪が終わったところで、予備知識なしに歩いていると、劇的な視界の広がりに息をのむところである。家棟川が遠くへ去り(実際には自分が歩いている日野川が近江八幡市側へ蛇行したのだけれど)、その間の農地が広くなっている。
山を見ると左側の尖がり山と丸山のコンビ、これが通称田中山。右側の高原状の山が妙光寺山。この山の間から三上山が上半身を見せるという構図である。この構図は、近いところでは野洲電車基地のそば、野洲図書館向かいのグランドゴルフ場付近からも見られる。この山の並びを私は「方位5度の構図」と呼んでいる。この線を伸ばすと、東岸では近江八幡市水茎町のポプラ並木(湖岸道路岡山城址辺り)、西岸では安曇川南流河口へつながる。
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オギ原

日野川・大畑橋上流右岸堤防である。未舗装で、夏場は背の高い草が茂って見通しはよくない。そんなことでこの道に入り込んだことはほとんどなかった。今回行ったとき、堤防の草刈りが終わっていて、見違えるように見通しがよくなっていた。これだけの見通しがあって、対岸にあるクルマが見えなかったのは不思議だが、河川敷に茂っている木や竹藪が視界を妨げていたのだろう。そうとしか考えられない。
そんな中で収穫だったのは、河川敷に広がるオギの群生だった。野洲川の川原にも見られるのだが、川の向きと三上山との位置の関係がもう一つうまくいかない。その点こちらは川のスケールといい向きといい、撮りやすい状況にあった。堤防が裸になって、横一線になってしまうとまた撮りにくいことになるのだが、いまの場合、ずーと続く竹藪が、それをカバーしてくれているのも絵を作るうえで楽だった。この竹藪が車を隠したことにもなるのだが、それはもういい、発着場は分かったのだから。
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