長命寺港

長命寺港である。「西国十番長命寺・・・黄金の波にいざ漕がん・・・」とうたわれた名刹の、例の急な石段の直下にある。どこの港でも同じことだが、防波堤が視界を遮ぎりアングルは限定される。ここはたまたま船が出入りする部分に三上山が見える。幸いというべきか。
風が強く桟橋に掲げられた旗が吹き飛ばされそうになびいている。この日は冬型気圧配置が強まったとかで、四方の山はどこを見ても雪雲に覆われていた。標題写真の空模様がそれである。にもかかわらず湖面のこの輝き、これが理解できない。不思議なことに上空だけが雲一つない青空。その上強風だから波が高く湖面はまぶしく光る。そんな中で水鳥が数羽波に揺られていた。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


道光る

昨日の撮影位置から橋の上を少し左へ移動した。手前に見えている草原は日野川右岸の河川敷である。光る道は右岸堤防上の道路。竹藪の横を走っている軽自動車がのんびり見える。実際に走ってみるとほとんど直線道路を走っている感じだが、こうして写真で見ると竹藪の右側など減速しなければならないぐらいのカーブに見える。
実際に現場で見てもこのように見えているはずだが、目で見たときはそれが感じられない。写真と肉眼の不思議な感覚の差である。子供のころ、夏の砂利道が白くまぶしかった。そしてどこまでもまっすぐで長かった。実際には曲がっていたのだろうが目の前しか見ていなかったのだろう。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


日野川河口

日野川河口、湖岸道路日野川大橋上から。三上山からの方位が355度余り、簡単に言えば真北から5度ほどしかずれていない。正午前後の太陽に照らされ川面全面がきらきらと光る。
この日(2月9日)は今年最強の寒波が近づいているとかで、滋賀県地方でも北部の地域に大雪警報が発表されていた。湖南地域の空は不思議な塩梅で、周りの山がぐるっと雪雲に覆われており、すり鉢の底から青空を見上げているような感覚だった。このときははっきり姿を見せていた背後の金勝山系(右側の稜線)や阿星山(左側の高い山)も、このあと30分もすると雪雲に覆われ姿を消した。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


広い農地

旧野洲川北流河口から現放水路の沿いの守山市小浜集落まで約2.6Kmを南北につなぐ直線道路がある。その道を河口から南へ向かう。はじめのうちは旧北流跡の森に近く山は見えない。その後徐々に森から離れてはいくが、農地にビニールハウスなどが並び、なかなか姿を現わさない。吉川の集落が遠くに見えるようになってやっと視界が広がってくる。
見えているのは旧北流(現在の中主吉川公園)との間に広がる農地。先ほどの直線道路から吉川公園の方へ折れて、手前に温室風の建物の横から、ひょっこり姿を現したところである。遠くに吉川の集落が広がる。高圧線鉄塔も今ではアクセントの一つだと感じるようになった。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


木の間から

同じ公園内である。標題も同じ「木の間から」。タイトルを考えるのが面倒くさいからというのが本音だが、別の見方をすると、やむを得ないことだと理解してもらえるかもしれない。というのはこのような木が多い公園内だから、適当に木と木の間からランダムに山が見えるのだろうと思われるかもしれないが、そういうわけではない。見える道筋があるのである。
以前、青春切符で富士山を見に行ったことがある。どこへ行けば見えるのか。時間のことがあるからあまり込み入ったところへはいけない。結局富士川の川岸を選んだ。正解だった。富士山ぐらいになれば、町中からでも見えるだろうが川筋には勝てない。きのうの撮影位置が旧北流の流路跡。きょうの撮影位置は三上山を見ながらそのまままっすぐバックした旧河川敷跡だった。結局は昔の川筋の上に引いた1本の線上を前後しているだけということになる。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


木の間から

旧野洲川北流跡の公園である。入り口には真新しい看板で中主吉川公園と銘打たれている。何年か前、旧野洲川跡探訪をやっていた時はよく通ったが、その後足が遠のいていた。その時に比べると整備範囲が下流へ伸び、駐車場も増えている。鳥の観察場などもできていたが、さあどれぐらい活用されるのか。あとの運用が大変。
細かいことはほとんど忘れてしまっていたが、不思議なことに現場へ行くと思い出す。確かここへ行けば見えたはずと行ってみると結構そのままの風景が残っていた。これは公園内に残る旧北流水路を右に見て、上流を振り返ったところである。夏場には若干見えにくくなるのだろう。左の方に見える遊歩道が分かりにくいかもしれない。誰か歩いていてくれたらよかったのだが。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


松の木余聞

家棟川に架かる比留田橋を集落の方へ渡ったところ。親鸞聖人御旧跡の石柱が立っている。道が堤防からの下りで平地より少し高い。その高さが効く。その奥にあるビニールハウスの上に三上山が見える。その左に細い松の木が2本、X字型に組み合わさって立っている。
実はその昔、ここに立派な松の木が2本、V字型に立っていて、その間から三上山が見えた。1970年野洲へ引っ越したあと、1976年、三上山を撮りだすまでの間、自転車で周辺を走り回って遊び半分でモノクロームの写真を撮っていた。そのときの一枚が残っていたが、どこへしまったのか急には思い出せない。そのあとカラーフィルムを詰めていったときには、それらの2本の木はきれいさっぱりなくなっていた。二代目の成長を祈るや切。もちろん私にはその姿を見ることは不可能だが。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば


木の間から

家棟川は希望が丘山中、日本庭園あたりを水源として野洲市北部を流れて琵琶湖にいたる小さな川である。かつては天井川で今より南の市街地を横切っていたが、今は改修されて北へ寄り比留田集落の北東側を流れて琵琶湖にいたっている。小南から県道48号の細い道が比留田に向かい集落の入り口で家棟川を渡る。
先日そのコースを走っていて、あれっと思った。比留田橋の上から木の間越しに三上山が見えたのである。それより上流、童子川との合流地点あたりから左岸側にバラエティーに富んだ木が適当な間隔で並んでいる。それは何度か撮っていたが、この橋の上から三上山を見たのは初めてだった。そんなはずはないがと引き返し、車を降りてゆっくりと見直した。そうだろうな、案の定、電線が邪魔をしていた。昔だったら、これだけでボツにしていた。これだけはっきり見えるのだから撮らないはずはないし、撮れば覚えているはずだし。確かに電線が邪魔をしているが、今はやっぱり撮っておこうかと思う。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば

