番外編・何? あれ

いつもしけた色の写真ばかりで、たまには色彩感のあるものをと、きょうは番外編。
昨日(11月13日)、所用があって今津町の161号バイパスを北から南へ走っていた。夕刻から雨になるという日の午後3時ごろ、あたりは夕暮に近い雰囲気だった。と、急に左右の畑に赤い線が見えだした。あれ、何やろ?・・・・。それがだんだん増え、面となって広がってくる。「柿や」、「カキ?、そんなのいまで見たことないぞ。ホンマに柿か?」、「間違いない、カキや」。「よし、下りよう」としたのは出口を通過した直後だった。次の出口は日置前ランプ。例の箱館山への出口だ。そのときには柿の赤は幻のように消えていた。
バイパスを引き返す手もあったが、一般道を走るほうが小回りが利くだろう。少し行くと、家と家の間から赤い色が見えだす。2車線のしっかりした道が見えて来た。ヨシ、ここや。曲がるとすぐに赤色が目前に迫ってくる。バイパスの高みからの広がりはないが、色はすごい。赤いカキの実が見えないのだから恐れ入る。
70代半ばかと思われる男性が収穫の最中。シャチョウが例によって友達のような顔をして「コンニチハ・・・綺麗ですね・・・」。「美しいやろ。例年だとちょっと赤くなったぐらいで散ってしまうのだけど、こんなに美しくなったのは・・・」と、盛んに「美しい」という言葉を発しながら、「・・・ワシも初めや」という。写真ファンがなぜ騒がないのかと思っていたが、地元の人が初めてでは天狗たちも知らないわけだ。いやいやホンマ、すごい風景だった。最後にもう1枚幸せな時間をどうぞ。
ちなみに、161バイパス最寄りの出口名は確認できなかったが、付近の地名等から、多分「深清水ランプ」(日置前と大沼の間)だろう。昨夜の風でどうなっているか。
写真ステージ 「近江富士」
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宙に浮く

野洲川右岸、近江富士大橋下流、後ろを振り向くと落差工が見える位置である。たとえば、左岸から見ると手前に落差工が見え、対岸の外側に白い建物が見える。GoogleMapによると「三井化学アグロ」とあるが、この建物が見事に邪魔をする。しかし今日の話とは別の問題。標題写真の撮影位置がこの白い建物の右端ということを示したかっただけである。
ということで画面の左外にはその白い建物が建っている。ススキその他は堤防の外側に生えているもの。カメラは堤防上の管理道路を挟んで内側に立っている。もうこれ以上動きようがないという場所である。三上山はくっきり見えているが、それ以外の山は一切写っていない。こういう写真がこわい。昨日の話でいうお寺の屋根がないのである。きっちりメモしておかないと、5年、10年たったときに撮影場所が分からなくなる。たとえばの話だけど、万が一白い建物がなくなった場合、この写真は宙に浮いてしまう。落差工との関係写真を持ちだしたのはそういう意味である。
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お寺の屋根

1980年4月の撮影である。1994年に出版した『近江富士百景』に収録している。その時点で撮影場所が怪しくなっていた。撮影時は、もちろん今のように文明の利器はない。マミヤ67で撮影した6×7判ポジフィルムを1枚ずつ切り落として、ビニール袋に入れ、撮影年月日と撮影場所を書いて保存をしていた。場所といっても今から考えればずさんなもので、近くの信号につている町名などを記憶しておいて…といったぐらいのもの。
2000年代に入ってデジタル化するにあたって、もう一度撮影場所を洗いなおした。幸いなことにこの写真には山が写っていた。山の並びから見つけ出したのがこの場所だった(2002年8月撮影・元データの画素数不足でピントが怪しい。お許しを)。山の並びは間違いないが、手前の状況が完全に変わってしまっている。川の幅が狭くなり右側に道ができている。街並みを見れば、例の赤い建物(アクト守山)、その右に白い建物(ララポート)、左端に薄茶色ンマンション風の建物。これが同じ場所だといえるのか。まさに浦島太郎だった。
山の並びが一致しているから間違いはないのだが、あまりの変わりようにそれにプラスしてあと一押しがほしかった。そして見つけたのがお寺の屋根だった。昔の写真で菩提寺山頂上の左下方に見えるお寺の屋根。それがこのときの写真に写っていた。アクト守山の右、ララポート(白い建物)の手前、軽トラとその右の物置小屋との間に見える。
そして今回のがこれ、さいわいお寺の屋根はいまも見える。さらに追加してもう1つ、これは余計なことだけど、いまの写真で三上山雌山と菩提寺山の鞍部に小さい突起が見える。これが1980年の写真に見える。細い木の枝と重なって見にくいが。
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消えた

三上山に対して右の方、交差点でいえば石田町交差点の方へ寄ったところである。つい先ほどまでアクト守山遊技場の赤い建物が見えていたのに、いつの間にか見えなくなった。多分右側の住宅群か神社の森に隠れたのだろう。手前に見える白い家や2つ窓の家が見えているのに不思議な気がする。右に見える神社の森は石田町の若宮神社である。
赤い建物が見えていた時は、右裾の雌山も見えていたし、わずかだけど菩提寺山も見えていた。不思議なことに赤い建物が見えなくなると同時にそれらの山も消えてしまった(よく見ると神社の森と重なっている)。仮に10年後、20年後、山の並びで撮影場所を特定しようとしたら、左側に見える妙光寺山(鏡餅を横から見たような滑らかな山)と天山(間に見えるギザギザの山)の組み合わせだけが頼りになる。
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広い風景

農地を前にした広い風景である。遠くに見えるのが守山の市街地。野洲川放水路の新庄大橋を右岸から左岸へ向けて渡り、そのまま進むと守山北中学の前へ出る。そこをさらに進むとこの風景が現れる。荒見町交差点から次の信号石田町まで距離にして1,3Kmほど。しかしその間両側は、学校があったり、集落であったりするから、結局は中間部の300m余りがこの風景の展望台ということになる。
くどい文章を書いてしまった。なぜか。何回行っても撮影した場所がはっきりしないのである。クルマを置いた場所、歩いたルート、すべてはっきりしているのに、シャッターを切った場所がはっきりしない。たとえば今日の標題写真、軽トラが1台走れる道があり、三上山に向かって右側に水路がある。これが、GoogleMapをいくらにらんでも出てこない。これくらいの水路なら記載されていそうなものだけど、それが見当たらない。三上山と菩提寺山との両側に大小2本のアンテナが見える。これを条件に現場に立って、GPSで読み込むしか手はないだろう。これから5年や、10年ならこの条件で確かめられるはずだが、その間、農地がこのままで残ってくれるかどうか、何とも難しいところである。
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旧堤防

三角公園の頂点のところである。底辺の方の幅が広い部分は駐車場やトイレ、グランド等になっているが、先端部の幅が狭いところでは遊具などが置かれ子供用のスペースになっている。標題写真は遊具の右の2本の木を前景に三上山を見たところである。
左側、クルマが走っているのが新放水路の堤防。左岸を上流から下流向きに走っている。右側で黒く陰になっているのが旧南流の左岸堤防である。カメラの場所は旧南流の河川敷だったところ。一目見て旧堤防の高さがわかる。旧堤防は画面奥の小さな木のところからさらに上流側へ続いていたはずだが、いまはその姿はない。参考地図。画面左側、川田大橋そばの残留堤防とある場所。
以上このように見てもらうと、なるほどと納得はしてもらえるだろうが、いまのは新旧両堤防の相対的な高低差だけを見てもらったわけで、これだけで旧堤防のすごさはわかってはもらえない。この写真、右端に見える数本の杭、これが新堤防の高さ。止まっているトラックの奥が旧堤防である。ついでにもう1枚。
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カラスとワシ

きのうも少し述べたが、いまの三角公園はかつてはサギの天国だった。近くからではヤブしか見えなかったが、対岸から見ると竹の上にまで伸びた木の上でシラサギやアオサギが飛び回っているのがよく見えた。標題写真は公園の敷地内に生えているケヤキの大木である。これも竹の上に顔を出していたうちの1本だろう。右端から三上山のほうに向かって伸びている影が旧南流の堤防跡である。
さて、かつてのサギの天国、いまはカラスの遊び場である。標題写真は、左の一番下の枝に止まっているカア子のところへ、下からカン太がやってきたというところ。もっと仲良く並んで止まるのかと思っていたが、何やそれは。もうちょっと愛想のつけ方があるものを。と思っていたら・・・・それ見てみい。逃げられたやないか・・・。
ところで、鷲はいつ出てくるの?。鷲?、ここにいますがな。ワシがカラスに遊んでもろてますねん。ここは昔、サギの天国やったいうてますやろ。
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傾く

昨日と同じ、川田橋左岸畔の旧南流堤防上である。背の高いケヤキの木が右側へ傾いている。昨日も述べたが、ここはかつては深い竹藪(2012年3月撮影)で、ところどころにこのように竹に負けずに背が伸びた樹木だけがかろうじて生存していた。しかしそれも外側へ伸びて体を傾けながら。ただし、標題写真と「深い竹藪は」、一見同じ木のように見えるが、生えている場所などがバックの建物(窓一つのプレハブ)との関係などから見てどうも違うようである。
現在奥の方にもう1本、木が残っている。近寄って見たのがこの写真。建物との関係から、「深い竹藪」で遠くに見える木かとも思うが、なにぶん小さく確たる保証はない。
「深い竹藪」の上の方に、アオサギの巣が見える。右上のが本格的なもので、左下の小さな巣で子供が親の帰りを待っている。アオサギは用心深い鳥で、平地にいるときはちょっとでも足音を立てるとすぐに逃げてしまう。しかし巣の上にいるときは下で動こうが声を出そうが、一切関係なし。世界が違うと言わんばかりの態度だった。その鳥たちも今はいない。
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