桑実寺

さしもの石段も先が見えた。山登りのときは、そこが頂上だと登り着いたら、まだ先が続いていたりしてがっかりするのが常だったが、ここはもう間違いはないだろう。最初の300mはとっくに超えているはず。カメラのプロパティで約20分。そんなもんだろう。クルマの運転でもそうだけど、だいたい山なんてものは、ゆっくり登ってもあわてて登っても所要時間に大差はない。
本堂。寺のしおりによると、重要文化財、入母屋造り檜皮葺。南北朝時代の建立、戦国時代にも全く戦火には関係なく、建立されたままの姿でいまに至っているという。そりゃそうだろう、こんな視界の狭いところで戦争する奴はいない。と、まあしかし、ボクとしては戦国時代の戦略につい関心があるわけでないし、誰の建立で、誰が祀られていようと、それもどうでもよい。それはそっちへ置いておいて、三上山が見えるか否かが問題。肝心の山は例のスサノオの谷間(ボクが勝手につけた呼称)で右へ隠れたままである。
このあたりだと思われるところを探す。受付の建物の横、木の向こうに見える。よし方向は決まった。あとはバックしてちょっとでも高い場所を探せばよい。そういう場所があるかどうか。見れば、本堂の後ろ多少高いところに祠がある。そこまでバックして撮ったのが標題写真である。スサノオの谷間での三上山は存在感があった。同じ大きさだけど、こちらでは山はどこかと探さなければならない。最低の条件というべきか。
祠の柱に無造作に打ち付けてあった板を見て驚いた。昨日の谷の鋭さを”スサノオの尊の鉈の冴え”と表現したが、その名前がここにあったのだから。(実際はきのうの文章が、この表示を見てのヤラセだけど)。
写真ステージ 「近江富士」
■近江非名所全集
■滋賀を歩けば

