番外編・稲荷山古墳

地図で場所を確かめ、日を改めて出かけていった。現地の案内板によると、”明治35年県道拡幅工事の際に発見された前方後円墳云々”とある。きのうの標題写真はその県道から撮ったもので、「稲荷山古墳」の文字は麗々しいが、辺りには小屋が一つあるだけ。例の石棺はどこにあるのか。といっても、小屋の中しか考えられない。覗いてみれば記憶にあった特異な形の石棺はそこにあった。
入り口は施錠されている。窓ガラスにカメラをくっつけて撮ったのが標題写真。軒下に昭和62年3月付の掲示があって、”石棺の風化が激しくやむを得ず覆屋を建てた。この工事に当たっては地元住民が浄財を喜捨し云々”とある。風化か・・・。古墳の石室内にひっそりとというならともかく、むき出しになってしまえばつらいわな。
写真集『湖愁近江路』に載っていたのは、この覆屋以前のものだったらしい。石棺の横に柿の木でも生えていたらというイメージでやってきたけれど、これは夢だった。それにしてもこの覆屋、もうちょっと何とかならなかったのか。こうして一人で飛び込みでやってきた場合、外から見るしか仕方がないのだから。特に辛抱できなかったのは、ガラスに貼ってあったフィルム。これはいかん。プロのやることではない。もともとこういう文化財を、強い直射日光の下で保管すること自体無茶な話だと思うのだが。
写真ステージ 「近江富士」
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