モクレン

これも桜が咲くまでの期間限定である。野洲市南桜の公園墓地駐車場横のモクレン。墓地が完成した時に植えられ、最初のころは独立していて、自由なアングルがとれたが、その後周囲の木が茂りだし、それらに隠れてほとんど絵が作れない状態になっていた。
それが2,3年前に枝払いが行われ、風景が復活した。ところが去年にはすでに木々が茂りだし、ことしはすぐ奥のクスノキなどがさらに大きく茂って山が見えにくくなってきた。その上、広い画面を作ると、山の左斜面の裾のところ、雌山との境に妙な段差が見える。これは今年に始まったことではないのだが、やはり絵造りが制限される。それはともかく、事ここの風景に関しては植物の繁殖力の強さに驚くばかり。このままではおそらくあと1,2年で撮れなくなるだろう。
写真ステージ 「近江富士」
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折れた木

写真の調整が難しくなってきた。1月や2月なら、1週間や10日ずれても全く気にならなかった。ところがここのところはそうはいかなくなってきた。季節の進みが速く撮った写真がすぐ古くなってしまう。たとえばきょうの写真、さくらの直前に咲く花で、桜が咲いてしまうと使えなくなる。野洲市近辺の桜はいま開花直前というところ。この花の撮影は4月2日の午後。賞味期限は、きょう明日が限度ということになる。
家棟川近く国道477号沿いの畦道に立っている木で、普段はほとんど目立たないし絵にもならない。ところが花が咲くと驚くほどの存在感を示す。この花に初めて出会ったのは、2004年3月、(『近江富士まんだら』に収録)、田んぼの中にすっくと立つ姿に驚いた。三上山を撮りだしたころからよく通った場所だったが、この姿を見たのはこれが初めてだった。
その後、2010年3月、『あいあい滋賀』の連載をやっていたころで、これは花の時期を狙って行った。2004年とほとんど変わっていない。その後、周辺の田んぼの木が切られたりして、小さな変化があり、この花の木自体も小さくなった。その存在を忘れかかっていたが、先日この姿を見て、我が姿と重ね合わした次第。ところでこの花は何の花?。私にそんなこと分かるはずがないでしょうが。シャチョウはモモじゃないかというけれど。
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Posted by
八田正文
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10:07
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見えない山が

きのうの弁天さんの池よりさらに700mほど右へ寄った。近江市大覚寺町、三上山は見えない場所である。標題写真は三上山が見えないことの証明として撮ったものである。現場から回れ右をすると、大覚寺というお寺に向かう道が続いている。左右に横切っているのが県道である。心覚えのつもりで分かりやすいところから撮った。昨日の写真についていえば、鏡山を基準にして、雪野山は左へ動き、三上山は右へ動く。三上山が雪野山の後ろへ回り込んでしまうと見えなくなるという勘定。
帰ってから見えないはずの画面を大きく伸ばしてみてた。見えないことの証明に撮った写真を伸ばして見るのだからヒマな話である。?、なんやこれは。見えたのである。三上山が。分かるだろうか。平らなピークが2つ。右が鏡山、左が雪野山である。その雪野山の右肩に三上山の先端がちょこんと乗っている。大覚寺から三上山は見えないと信じ込んでいた。そんな目で現場に立って見えるはずがない。いやいや、びっくりしたぞ。
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右か左か

昨日の北野神社近くから、県道とほぼ平行に400m余り移動した。と、また小さな池が現れた。右手前に小さな出っ張りがあり、小さな祠と鳥居が見える。大概こういうのは弁天さんである場合が多い。いまは近寄っていないから正体不明。その向こうに工場の建物が見える。この建物がなかったらかなりの風景であっただろう。池と工場との間に県道が走っている。
ところで、きょうの最初の1行の文章。風景を観察する立場からすると不完全である。400m移動したと書いたが、右か左か。それが欠落している。(前後も考えられるが、県道が左右方向だから、いまの場合前後は無関係)。地図で北野神社を探して、そこから400m離れた池を探せばいいのだが、それでは面白くもおかしくもない。2枚の写真だけでそれを読み解きたい。
山の並び。昨日の写真では、右から鏡山、雪野山、この2つがくっついて、少し離れて三上山が見える。今日の写真ではそれらがほぼ等間隔に並んでいる。鏡山を基準にすれば、雪野山は左へ動き、三上山は右へ動いたことになる。現場から山までの距離は、近い順に雪野山、鏡山、三上山。これは重なり方を見ればわかる。さてこの400m。右か左か。答えは右である。風景は遠くにあるものほど自分と同じ向きに動く。月はいつまでも自分についてくる。
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森の上

東近江市平尾町、東光寺の参道沿いに小さな農業用水池がある。上下2段に分かれていて、一度、東光寺の帰りにその下の池には寄ってみたが、ああここに池があるなぐらいで帰ってきていた。先日その山裾を通る県道508号を歩いていて、北野神社という神社があるのに気がついた。落ち着いた神社である。その前から上を見ると段々畑の上に展望台風の柵が見える。大した距離でもなさそう。これは面白そうだなと上ってみた。
ふと気がついたら、初めに書いた東光寺からの帰りに寄った池だった。上から下ってきて見るのと、下から登ってきて見るのとでは見え方が違う。上の池まで上ってみると先ほどの北野神社の森が目の下に見えた。うす曇りで空がとぶなと思案していたらカラスが一羽飛んできた。カラスが入ればいいというものでもないが、いないよりはましか。
森の上一番高い山が鏡山。それに重なって左下のよく似た形の山が雪野山。これが日野方面から見ると、三上山を左右逆にしたような形に見える。この山がなぜそのように見えるのか不思議である。そして、その山の右下。三上山とよく似たのが布施山。うっかり見ているとこれを三上山と見間違うことがある。基本的に高さが違うのだが、難儀なものである。
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屋根の上

砂防ダムからの帰り、南桜の集落内を歩いていて、あっと思った。茶室(だと思う)がある風景。すぐ近くにお寺があった。広い風景をもう1枚。ダムへ続くトンネルのすぐ手前である。何やこんなとこだったのか。10数年前のことを思いだした。
TV局とも随分つき合いをしたが、今回のように私が全く知らなかった新しい風景に案内されたのは初めてだった。大概は、こうこうこのような風景はありませんかとリクエストされて、私がしかるべきところへ案内をするのが普通だった。そんな中でたった1回だけ、私が知らない三上山が映ったことがある。2003年12月のテレビ東京の番組で、私が案内した場所以外に、全く知らない場所が映っていた。局独自の取材で撮っていったらしい。山の形を見れば大体の場所はわかる。探しに行って見つけたのがこの風景だった。こんな難しい場所をよう探したな、さすがプロだと驚いた。
そのときの写真が残っていないかと探したが、見つからなかった。デジタルを使い始めたころで、ひょっとしてフィルムで撮ったのかもしれない。そのとき名神の向こうにダムがあったのかなかったのか。何の記憶もない。屋根の上の三上山をもう1枚。
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