神さんは望遠

きのうのモニュメントのところから、バイパスに対して直角方向へ進み農地の中に立つ。ここも大豆畑である。乾いた風が吹き抜けて気持ちがいい。葉裏の白がきらきらと光る。三上山の右、ラクダのコブが一昨日の標題写真と同じ並びである。考えてみると確かによく似た方向だ。ただし、三上山に対してコブの大きさが小さく見える。このように撮る場所によって、両者の大きさの比が変わる。風景の面白さである。
それに対して先月見てもらった愛知川堤防からのように極めて遠くから見た場合、両者の固有の大きさの比ということになり、これが真の大小関係である。神さんはすべてのものを遠く天国から見ている。ものごとを客観的に見ようとする立場である。それに対して、あるものに近づいて見た場合、真の大小関係は崩れる。その歪みを強調し、場合によっては逆に見せようとするのがワイドレンズである。
写真ステージ 「近江富士」
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モニュメント

県道2号が日野川に架かる仁保橋を経て近江八幡市に入る。江頭町までは左右に街並みが続くが、加茂町に入るとバイパスが集落の外側を走り右側に農地が広がる。その一角に加茂神社の「足伏走馬」のモニュメントが建つ。加茂神社そのものは集落の奥にあり、一、二度訪ねたことはあるがルートを人様に教える自信はない。教室の諸兄は走馬の写真をよく撮ってくる。あんな難しいところへどうして行けるのかと、いつも感心している。
モニュメントは道路沿いに建ッている。距離をとろうとすると道路を挟んだ反対側ということになる。しかしただ渡っただけでは植え込みなどが邪魔をする。標題写真はさらにその後ろに広がる家庭菜園のふちまで上ったものである。三上山と一緒にとなるとどうしてもバックの木が邪魔をする。やっぱり葉を落とした時だろう。それに素人が言えた義理ではないが、左前脚が棒立ちしているのが何とも奇妙。台への固定を考えるとこういうことになるのだろうか。
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忍者と遊ぶ

光善寺川とJR琵琶湖線が交差するところ。ここへきて初めて全面黄金色の田んぼを見た。人間勝手なもので、こうしてみるとどれか1枚ぐらい刈入れが行われていてもいいのにと思う。右端に大中小と森が3つ分かれて見えるが全部長嶋神社の森(地図によると集落の名は「長島」だが、神社の名は「長嶋」となっている)。で、JR線は森を分けている。実際に現場へ行ってみると鳥居と本殿が線路の両側に分かれている。野洲駅方面からやってくる電車は森を抜けるまでは全く無音。忍者の如くにやってくる。
三上山の右、電車の上に見えるラクダのコブは、左がカブト山、右がハタフリ山。総称して田中山と呼ばれているが、近江八幡市の湖岸近くから見ると左が尖り、右が丸く見える(三上山の左)という忍者のような山である。もう1枚。もう少し上流から見える新幹線。手前の山は標題写真で電車の前に見えていた山。これが目の前へしゃしゃり出てきた。地元では「夕日が丘」と呼ばれている。新しい住宅地かと思うがれっきとした山。ちょっと歩いただけで山が勝手に動く。これもまた忍者。
ここら一帯、大きく見ると鏡山の裾ということになる。山に押し出された形で両者近いところを通っている。きょうの話とは無関係だけど国道8号も夕日が丘の向こうをちょっとした峠で越える。
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光る葉裏

県道2号小南交差点からJR篠原駅へ向かう県道48号が光善寺川という小さな川を渡る。小さなといっても立派な天井川で堤防は結構高い。そこから実った田んぼをというのが眼目だったが、今年はこれが見事に狂う。現場へ着いて驚いた。田んぼ一面が見事な大豆畑。雲一つない快晴の下、きょうこそはと出かけてきたのだが、アウトだった。大豆の葉っぱは色が濃い。それが風にあおられて葉裏の光が走り回る。それはそれで動きになるのだが、シャッターを切った瞬間に止まってしまう。何とも手におえない風景だった。光っている屋根が長島の集落。
ここへ来たときに車を止める橋ぎわの空き地。以前はそこからも撮影ができたが、竹が伸びて見通しが怪しくなっていた。前回はいつだったか、そのときに竹が伸びるとだめになるなと思った記憶がある。まさに予測通りといえばいいのか。道路際まで進出してこなければよいが。
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木が伸びた

地球の森、正式名称は「びわこ地球市民の森」という。遊歩道の橋はみな木製であるが、この橋だけはコンクリート製の半恒久的な橋。真ん中あたりはおそらくこの公園中で最も高い点であろう。いま、そこに立って三上山が見えにくくなっている。たとえばこの写真、2013年4月の撮影。いまから4年前、左の欄干に通行止めのロープがぶら下がっている。この橋ができて直後の撮影である。このときは三上山はいうに及ばず、左右の山がすべて見えた。
もう一か所。橋から見て右前方に、小高い山があった。山そのものはいまもあるが、木に覆われてそこに立っても見通しはきかない。実はこの山の上からも展望が効いた。「ふるさと富士サミット」が開かれた前後だったから2007年ごろの話である。この写真はそれから2,3年後、木が植わりだして、これはいかんと慌てて撮ったもの。三上山を撮りだして40年、結局風景の変わり目を撮り続けてきたことになる。
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真正面富士

さて9月。ここまで来るとあとは早い。あとはアッという間である。
安土町北腰越、東海道線トンネル上。安土城考古博物館・近江風土記の丘のほうから遊歩道が続いている。ここへ来るたびにいまの電車は静かになったなと思う。電車がいつ飛び出してくるかわからないのである。何の予告もなしにシュッと音がして時速100Km電車が飛び出して来る。電車の時刻を調べてこなかったので、絶えず緊張していなければならない。
きのうの話を蒸し返せば、ここも偶然の一致の範疇に入るのではないかと思える。ところがきっちり見ると、そんなに簡単な話ではない。撮り方がいい加減だけど、ずれがあることは確かである。運転席から見れば誤差の範囲で、真正面に見えるのではないかと思いつつまだ確かめてはいない。
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